大型宇宙ごみを捕獲・除去する宇宙機ADRAS-J2の打ち上げに、ロケットSpectrumが選定された。実証済みの接近運用とロボットアームを組み合わせる計画で、2027年度の打ち上げを目指す。
Spectrumでミッション固有の軌道へ投入する
アストロスケール日本法人は、宇宙ごみ除去ミッションADRAS-J2の打ち上げ事業者にIsar Aerospaceを選定した。打ち上げには、選定した事業者が開発するロケットSpectrumを使い、ノルウェーのAndøya Spaceにある専用発射台を利用する計画だ。
アストロスケールが示すSpectrumの仕様では、低地球軌道への搭載能力は最大1トンで、ミッション固有の軌道要件に対応する設計となっている。ADRAS-J2では、対象へ接近するための正確な軌道投入がミッションの要件になる。
捕獲を想定していない約3トンのロケット上段が対象
軌道投入後に向かう対象は、長さ約11メートル、直径約4メートル、質量約3トンのロケット上段だ。この上段は、他の宇宙機とのランデブーや捕獲、除去を想定して設計されていない非協力物体である。
ADRAS-J2は、対象へ接近して相対的な位置関係を保つランデブー・近傍運用(RPO)と、自社開発のロボットアーム技術を組み合わせる。アストロスケールは、軌道上で実証済みの接近運用技術を使って対象に近づき、アームで捕獲して軌道から除去する計画としている。
15メートルまでの接近と捕獲部位の点検を継承
接近運用の基盤となるのは、先行する点検ミッションADRAS-Jの飛行実績だ。アストロスケールによると、先行機は非協力物体に対する自律的な近傍運用を実証し、対象から50メートルの周回観測と15メートルまでの接近を実施した。
近接点検では、後継機が捕獲部位として使う予定のPayload Attach Fitting(PAF)、すなわちロケットのペイロード取り付け部も観察した。この部位に顕著な損傷がないことを確認しており、取得したデータを後継ミッションの捕獲計画に利用する。
除去実証機を製造し、2027年度の打ち上げへ
点検で得た実績を受け継ぐADRAS-J2は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズIIとして開発されている。先行機による点検に続き、この段階では大型宇宙ごみの除去技術の実証を目指す。
後継機は打ち上げに向けて製造・組み立てが進められている。打ち上げ目標は日本の2027年度で、2027年4月から2028年3月までの期間を予定している。