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気象衛星の観測からCO₂濃度を10分ごとに推定するAI

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    GoogleのAIモデルは、静止気象衛星の観測範囲にわたって気柱平均CO₂濃度を10分ごとに推定できた。

  2. 実現の仕組み

    16波長帯の気象衛星データに気象情報や太陽の角度を組み合わせ、CO₂専用観測のデータで学習する。

  3. 得られた結果

    Googleは、別年の衛星観測と独立した地上観測との比較で、推定値が実際のCO₂濃度変動を捉えることを確認した。

  4. 従来との違い

    CO₂分布の観測を目的としていなかった静止気象衛星の既存データが、CO₂濃度推定の入力として利用された。

静止気象衛星から大気へ伸びる複数の観測帯と、雲に覆われた地球上空に色の濃淡で示されたCO₂濃度の推定分布。
AI生成画像

既存の気象衛星データから、大気の気柱平均CO₂濃度を10分ごとに推定するAIモデルが開発された。Googleは科学研究支援AIを使ってモデルを構築し、別年の衛星観測と地上観測との比較で、実際の濃度変動を捉えることを確認したとしている。

CO₂専用観測と気象衛星で異なる観測間隔

CO₂観測衛星OCO-2は、高精度の観測に向けて設計されている。一方、観測できる地表の範囲は限られ、同じ場所を再び観測するのは16日ごとになる。

静止気象衛星GOES Eastは、半球全体を10分ごとに走査できる。ただし、既存の静止衛星はCO₂分布の観測を目的として設計されておらず、この高頻度の観測をCO₂推定に利用するには、観測データから濃度を取り出すモデルが必要になる。

16波長帯と気象情報を単一画素のモデルへ入力

Googleは、科学研究支援AIのEmpirical Research Assistance(ERA)を使い、GOES Eastの既存観測からCO₂濃度を推定するニューラルネットワークを開発した。物理に基づくこのモデルは単一画素を対象とし、大気の柱全体で平均した濃度に相当する気柱平均CO₂濃度を出力する。

入力には、気象衛星の16波長帯のデータを使う。これに対流圏下層の気象情報、太陽の角度、年内の日付を組み合わせて濃度を推定する。

疎なCO₂観測で学習し、10分ごとの推定へ

モデルの学習には、CO₂観測装置OCO-2とOCO-3の疎な観測データを用いた。CO₂専用の観測データで学習し、推定時には気象衛星の観測を入力する構成である。

Googleによると、学習後のモデルはGOES Eastの観測範囲にわたり、気柱平均CO₂濃度を10分ごとに推定できた。出力されるのはモデルによる濃度推定値であり、気象衛星にCO₂専用センサーを追加したわけではない。

別年の衛星観測と地上観測で濃度変動を照合

Googleは、推定モデルの出力を別年のOCO-2観測データと比較した。さらに、地上の気柱炭素観測網による独立した観測データも比較対象に用いた。

これらの比較で、モデルが実際のCO₂濃度変動を捉えることを確認したとしている。検証対象は推定された濃度の変動であり、気象衛星の高頻度観測をCO₂濃度の追跡に利用する能力を評価した。