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AIを使った熟練の特許弁護士、AIなしの修正課題でも高得点

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    AIへのアクセスを与えられた特許弁護士は、90日後の起草課題で対照群より0.38標準偏差高い品質を達成した。

  2. 実現の仕組み

    3カ月のAIアクセスを無作為に割り当て、最後に全員へAIなしの修正課題を課すことで、支援中の成果と独力での技能を分けて評価した。

  3. 得られた結果

    経験7年以上の弁護士はAIなしの修正得点も改善した一方、経験7年未満の層には平均的な改善が認められなかった。

  4. 従来との違い

    AIアクセス群の起草得点は、低い得点が減って良好な得点が増える分布へ移ったが、卓越した得点の頻度は変わらなかった。

明るい法律事務所の机で、弁護士が閉じたノートパソコンの横に置いた特許草案をペンで修正している編集イラスト。
AI生成画像

AI支援で特許文書の起草品質が上がっても、独力で修正する技能への効果は経験によって異なった。特許弁護士133人を対象とする3カ月の無作為化比較試験で、AIなしの修正得点の改善は経験7年以上の層に集中し、若手には平均的な改善が認められなかった。

3カ月のAIアクセスを事務所内で無作為に割り当てる

Googleは、知的財産を扱う11の法律事務所の弁護士133人を対象に、AI特許起草支援ツールへのアクセスを無作為に割り当てた。参加事務所はいずれもGoogleと継続的な取引関係にあり、その関係は非独占的だった。

各事務所の約3分の2が、Google Labs製の未公開ツールを早期に利用する介入群となった。残りの対照群にはAI利用の研修を行ったが、3カ月の実験が終わるまでこのツールへのアクセスを与えなかった。

起草ではAIを使い、修正では全員が独力で取り組む

参加者は10日後と90日後に、架空の発明資料から特許文書を起草した。2回の課題では異なる資料を使い、介入群には支援ツールや他のAIツールの利用を推奨した。

90日後には、内容と文体に誤りを含む架空の特許文書を修正する課題も加えた。この課題は全員がAIなしで取り組むため、AIを使って仕上げた成果とは別に、独力での修正能力を測定する評価となった。

第三者の特許専門家が、両課題を共通の5項目で採点した。評価対象は権利行使可能性、正確性、請求範囲を戦略的に定める曖昧さ、完全性、明瞭さで、文章の読みやすさに加えて特許としての品質も含めた。

起草品質は改善し、若手の作業時間も短縮

Googleの実験では、AIへのアクセスによる起草得点の改善幅は10日後に0.34標準偏差、90日後に0.38標準偏差だった。得点分布では低い得点の頻度が減り、良好な得点の頻度が増えた一方、卓越した得点の頻度には変化が認められなかった。

若手では、品質の改善に作業時間の短縮も伴った。10日後の起草課題で、AIアクセス群の所要時間は対照群の平均124分より18分短かった。

AIなしの修正では経験7年を境に効果が分かれた

起草中の改善に対し、90日後のAIなしの修正課題では経験による違いが現れた。経験7年以上の弁護士はAIアクセス群が対照群を0.45標準偏差上回ったが、経験7年未満の弁護士には平均的な得点改善が認められなかった。

若手の得点分布では、AIアクセス群は対照群に比べて非常に低い得点と良好な得点が多く、中程度の得点が少なかった。修正内容の観察では、深刻な欠陥を見つけても実際には直さず、指摘コメントだけを残す行動が両群で見られた。