血糖の緩やかな変動と短期的な変化を別々に扱うAIが、食後の血糖予測を改善した。持続血糖測定向け基盤モデルGlucoFMは、測定値そのものの復元ではなく、潜在表現の予測で学習する。Googleの評価では、食前の測定値や栄養情報などを加えた条件で、比較モデルより小さい予測誤差を示した。
一日の血糖を基線と短期変化に分ける
Googleが開発したGlucoFMは、持続血糖測定(CGM)の時系列から学ぶ自己教師あり基盤モデルだ。入力する記録は24時間・5分間隔の格子にそろえ、観測マスクで実際に測定された位置と未観測の位置を区別する。
その系列を受け取るエンコーダーは、緩やかな血糖変動を低周波の状態成分として、短期的な変化を残差のイベント成分として別々に処理する。既存のCGM向け基盤モデルは、緩やかな基線と一時的な変化を明示的に分離せず、一つの表現の流れで扱っていた。新モデルは、この二つの時間的な特徴を分けた構成で学習する。
隠した部分と一時間先の変化を予測して学ぶ
事前学習には、CGMデータ集のWear-CGMと四つの公開データセットから集めた、ラベルのない測定データ109,066時間を使った。モデルは一日の系列の一部を隠し、周囲の文脈からその潜在表現を予測する。予測対象は、個々の測定値をそのまま復元した値ではなく、モデルが内部で扱う表現だ。
もう一つの学習課題では、基線と短期的な変化が一時間ごとにどう推移するかを予測する。学習時には、基線のずれ、圧迫に似た測定値の低下、測定間隔の拡大、短い測定中断もデータに加える。日内の文脈と時間的な推移を学ぶ過程に、実際のCGM記録で生じる変動や欠測を組み込んでいる。
固定した一日分の表現で臨床予測を比較
Googleは、学習した表現を四つのコホートにわたる七つの臨床予測課題で評価した。対象は糖尿病リスク、インスリン抵抗性、β細胞機能障害などで、コホートと課題の組み合わせは計14通りとなる。
この評価ではエンコーダーを固定し、個々の24時間の表現を入力とする線形分類器を学習した。学習側とテスト側に同じ参加者が入らない分割により、未知の参加者に対する予測を比較している。評価指標のPR-AUCでは、糖尿病リスクとβ細胞機能障害の全評価、インスリン抵抗性の四評価中三評価で、GlucoFMが比較手法の中で最も高い値を示した。
食前の情報を加え、食後2時間の軌跡を予測
食後の血糖予測では、固定したモデル表現を、時間とともに変わる血糖の予測へ使った。食事前に利用できる情報だけを入力し、食事開始時の測定値を基準とした2時間の血糖変化の全軌跡を予測する。評価対象は34人の874件の対応する食事イベントで、CGM機器のDexcomとLibreのデータを、同じ参加者分割の下で別々に扱った。
予測への入力は、モデル表現に食前1時間のCGM、食事の栄養情報、空腹時血糖、BMI、糖尿病の有無を順に加えた。Googleの測定では、これらをすべて使った条件で、二つの機器の評価を平均した平均絶対誤差(MAE)が21.88 mg/dLとなった。同じ入力と評価手順で比較したモデルの最良値は22.90 mg/dLで、GlucoFMはこれを下回った。