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血糖の緩やかな変動と短期変化を分けるAI、食後予測の誤差を低減

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    持続血糖測定向け基盤モデルGlucoFMは、食事前の情報から食後2時間の血糖変化の全軌跡を予測した。

  2. 実現の仕組み

    一日の血糖系列の一部を隠して潜在表現を予測し、基線と短期変化の一時間ごとの推移も学習する。

  3. 得られた結果

    Googleの評価では、全入力を使った食後予測の平均絶対誤差が21.88 mg/dLとなり、比較モデルで最良の22.90 mg/dLを下回った。

  4. 従来との違い

    既存モデルの単一の処理経路に対し、GlucoFMは緩やかな血糖変動と短期的な変化を別々に処理する構成を採用した。

食卓のCGMセンサーを着けた腕の横に、緩やかな基線と短期的な血糖上昇を分けた図、および食前データから食後の軌跡を予測する図を描いた編集イラスト。
AI生成画像

血糖の緩やかな変動と短期的な変化を別々に扱うAIが、食後の血糖予測を改善した。持続血糖測定向け基盤モデルGlucoFMは、測定値そのものの復元ではなく、潜在表現の予測で学習する。Googleの評価では、食前の測定値や栄養情報などを加えた条件で、比較モデルより小さい予測誤差を示した。

一日の血糖を基線と短期変化に分ける

Googleが開発したGlucoFMは、持続血糖測定(CGM)の時系列から学ぶ自己教師あり基盤モデルだ。入力する記録は24時間・5分間隔の格子にそろえ、観測マスクで実際に測定された位置と未観測の位置を区別する。

その系列を受け取るエンコーダーは、緩やかな血糖変動を低周波の状態成分として、短期的な変化を残差のイベント成分として別々に処理する。既存のCGM向け基盤モデルは、緩やかな基線と一時的な変化を明示的に分離せず、一つの表現の流れで扱っていた。新モデルは、この二つの時間的な特徴を分けた構成で学習する。

隠した部分と一時間先の変化を予測して学ぶ

事前学習には、CGMデータ集のWear-CGMと四つの公開データセットから集めた、ラベルのない測定データ109,066時間を使った。モデルは一日の系列の一部を隠し、周囲の文脈からその潜在表現を予測する。予測対象は、個々の測定値をそのまま復元した値ではなく、モデルが内部で扱う表現だ。

もう一つの学習課題では、基線と短期的な変化が一時間ごとにどう推移するかを予測する。学習時には、基線のずれ、圧迫に似た測定値の低下、測定間隔の拡大、短い測定中断もデータに加える。日内の文脈と時間的な推移を学ぶ過程に、実際のCGM記録で生じる変動や欠測を組み込んでいる。

固定した一日分の表現で臨床予測を比較

Googleは、学習した表現を四つのコホートにわたる七つの臨床予測課題で評価した。対象は糖尿病リスク、インスリン抵抗性、β細胞機能障害などで、コホートと課題の組み合わせは計14通りとなる。

この評価ではエンコーダーを固定し、個々の24時間の表現を入力とする線形分類器を学習した。学習側とテスト側に同じ参加者が入らない分割により、未知の参加者に対する予測を比較している。評価指標のPR-AUCでは、糖尿病リスクとβ細胞機能障害の全評価、インスリン抵抗性の四評価中三評価で、GlucoFMが比較手法の中で最も高い値を示した。

食前の情報を加え、食後2時間の軌跡を予測

食後の血糖予測では、固定したモデル表現を、時間とともに変わる血糖の予測へ使った。食事前に利用できる情報だけを入力し、食事開始時の測定値を基準とした2時間の血糖変化の全軌跡を予測する。評価対象は34人の874件の対応する食事イベントで、CGM機器のDexcomとLibreのデータを、同じ参加者分割の下で別々に扱った。

予測への入力は、モデル表現に食前1時間のCGM、食事の栄養情報、空腹時血糖、BMI、糖尿病の有無を順に加えた。Googleの測定では、これらをすべて使った条件で、二つの機器の評価を平均した平均絶対誤差(MAE)が21.88 mg/dLとなった。同じ入力と評価手順で比較したモデルの最良値は22.90 mg/dLで、GlucoFMはこれを下回った。