地理空間AIモデル群Google Earth AIで、人口動態と地形の特徴を組み合わせる災害リスク予測が改善した。Googleの評価では、単一の情報源を使う場合に比べ、20種類の災害で予測のR²が平均11%向上した。画像・人口動態の新モデルと、複数の処理をつなぐ推論エージェントも示された。
衛星画像を自然言語で検索・解析する
Googleが開発した衛星画像解析用モデル群Remote Sensing Foundationsは、視覚言語モデル、文章などで指定した対象を検出するOpen-Vocabulary Object Detection、適応可能な視覚バックボーンを備える。画像解析の入力に自然言語を使うことで、嵐の後の画像から浸水した道路を探すといった質問に答えることができるという。
このモデル群は、高解像度の上空画像と文章による説明を組み合わせた大規模なデータで学習している。画像と説明を対にした学習を、自然言語による衛星画像の解析に用いている。
人口動態の特徴を17カ国と月次更新へ広げる
場所と人間の活動を扱う人口動態モデルPopulation Dynamics Foundationsには、17カ国で一貫した埋め込み表現が加わった。埋め込み表現は特徴を数値として表すもので、新たに月次更新の表現も導入し、人間の活動が時間とともに変わる様子を捉える。
Googleは、このモデルを使った人口密度、樹木被覆、夜間光、標高の予測を17カ国で評価した。評価結果は、米国のみで示していた高い性能と同様の傾向を示したとしている。
人口と地形の特徴を合わせ、20種類の災害リスクを予測
人口動態モデルの埋め込み表現が捉える社会経済的特徴は、地表解析モデルAlphaEarth Foundationsが捉える地形的特徴と組み合わせて予測に使われた。予測対象は、米連邦緊急事態管理庁の災害リスク指標National Risk Indexだ。この指標は、経済・社会的な脆弱性や物理・環境的なリスクなどを踏まえて、自然災害に対する地域のリスクを示す。
Googleの評価では、2種類の特徴表現を統合すると、どちらか一方だけを使う場合に比べ、20種類の災害で予測のR²が平均11%改善した。R²は予測が対象の値をどの程度説明できるかを表す指標で、ここでの改善率は災害そのものの減少率ではなく、リスク指標の予測性能を比較した値である。改善は竜巻で25%、河川洪水で17%だった。
推論エージェントが風の予測から人口分析へ処理をつなぐ
異なるモデルやデータを質問に応じて使う役割は、GoogleのAIモデルGeminiを利用する地理空間推論エージェントが担う。エージェントは自然言語の質問を複数段階の計画に分解し、基盤モデル、データストア、地理空間ツールを呼び出す。各段階の結果を統合することで、一つの質問に必要な複数の分析をつなぐ。
Googleが示した嵐への脆弱性分析の実演では、風の危険域の予測に人口統計と郡の公式境界を重ね、対象地域を絞り込む。続いて人口動態モデルの特徴表現と郡単位の統計を使い、その場でモデルを学習する。この処理によって、脆弱性の高い郵便番号区域を特定する。