米国の無作為化研究56件を統合したメタ分析で、職業訓練枠の提供は就業率を平均2〜3ポイント、年間所得を約1,000ドル押し上げた。費用は1人当たり約13,000ドルだった。
56件の無作為化研究から平均効果を算出
新たなメタ分析は、米国で実施された無作為化研究56件を一つの証拠集合として統合した。米国の統合結果に加え、欧州で得られた実験的証拠も評価対象に含めている。
分析を共同で実施したのは、独立研究者David RoodmanとAnthropicのMaxim Massenkoffである。個々の成功例ではなく、訓練枠を提供された人全体について就業と所得の平均的な変化を算出した。
就業率は2〜3ポイント、年間所得は約1,000ドル増加
統合結果では、職業訓練枠を提供された1人当たりの就業率が平均2〜3ポイント上昇した。所得への効果もプラスで、年間の増加額は平均約1,000ドルだった。
これらの効果に対し、訓練枠を提供された1人当たりの費用は約13,000ドルだった。就業と所得への効果は確認されたものの、その平均規模は費用に比べて限定的だった。
税収と給付削減で政府支出の半分超を回収
就業と所得の増加は、公的部門の収支にも反映された。税収の増加と社会給付の支出減少を合計すると、政府が回収できた金額は職業訓練への支出額の半分を超えた。
政府による回収分だけで費用の全額を賄ったわけではない。一方、分析対象の職業訓練プログラムは、便益を合わせた全体ではおおむね収支が均衡した。
雇用主と直結する訓練は高効果でも再現に難しさ
平均値を大きく上回った少数の例が、sector programsと呼ばれる訓練方式だった。この方式は需要の高い業界の雇用主と連携し、訓練を受けた人をその分野の仕事へ直接配置する。
一部のsector programsでは、一般的な職業訓練プログラムの平均を数倍上回る効果が得られた。ただし、その効果を別の取り組みで再現する試みはしばしば成功しておらず、分析者は、AIが労働者を大規模に代替する状況では既存の再訓練プログラムだけでは対応が不足する可能性が高いと結論づけた。