発電用KUシリーズガスエンジンに、全運転負荷域で異常燃焼を抑える水素混焼仕様が加わった。エンジンと統合制御システムを対象とし、天然ガス専焼からの段階的な転換や既存機の改造にも対応する。
定格出力の単筒試験から運転負荷全域への対応へ
三菱重工グループのエンジンメーカー、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)は、出力3.65~5.75MWの発電用KUシリーズガスエンジンで水素混焼仕様を確立した。対象は、電力と熱を供給するコージェネレーションに使われるエンジンだ。
MHIETは先行する開発で、5.75MW級エンジンの単筒試験機を使い、定格出力時に水素の体積割合が最大50%の混焼で安定燃焼を確認していた。この確認条件に対し、今回の仕様確立では、実運用で負荷が変化する範囲を対象に異常燃焼を抑える技術を組み込んだ。
流れと燃焼反応の解析を異常燃焼の抑制につなぐ
MHIETは、数値流体解析のCFDと燃焼反応モデルを用い、水素燃料で課題となるノッキングや過早着火の発生機構を解明したとしている。流体の挙動と燃焼反応を解析し、異常燃焼を抑える技術の開発につなげた。
その知見に基づく抑制技術は、全運転負荷域を対象とする。MHIETは、この技術を基に水素混焼運転の仕様を確立したとしており、定格出力という一つの条件から、負荷が変わる運転範囲へ対応を広げている。
統合制御を含めて運転中の燃料切り替えに対応
新しい仕様は、コージェネレーションでの利用を想定し、エンジンだけでなく統合制御システムを含むシステム全体を水素混焼の対象としている。燃焼を担うエンジンと設備側の制御を、同じ混焼仕様に組み込んだ。
MHIETによると、運転モードを変更することで、設備を動かしたまま天然ガス専焼から希望する水素混焼率へ切り替えられるという。この切り替えによって、水素の調達状況に合わせた運転が可能になる。
天然ガスで導入し、機器追加や既存機の改造で混焼へ
水素混焼仕様は、従来の天然ガス専焼仕様からの設計変更を最小限に抑えている。MHIETは天然ガス専焼時に従来と同等の性能を確保するとしており、新設設備は天然ガスで運転を始め、後から必要な機器を追加して水素混焼へ転換できる仕様とした。
MHIETによると、既存のKUシリーズガスエンジンも、エンジン全体を交換せず、最小限の改造で水素混焼に対応できる。ディーゼルエンジンのKU30Aについても、ガスエンジンへの転換を経て水素混焼へ対応する経路を用意している。