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木星の約2倍の質量、既知で最も軽い褐色矮星を発見

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    IC 348の観測で、木星質量の2倍まで軽い褐色矮星を識別できた。

  2. 実現の仕組み

    NIRCamによる色と明るさの選別に、NIRSpecの分光観測を組み合わせて質量を調べた。

  3. 得られた結果

    太陽質量の0.19%に当たる天体が、既知で最も軽い褐色矮星となった。

  4. 従来との違い

    同じ領域で確認された褐色矮星の質量下限が、木星質量の3~4倍から2倍へ下がった。

星形成領域で観測される褐色矮星と分光パターンを描いた科学イラスト
AI生成画像

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の撮像と分光観測により、木星質量の2倍という既知で最軽量の褐色矮星がIC 348から見つかった。観測された質量下限は従来の3~4倍から下がり、恒星形成モデルに新たな課題を示した。

星と同じ収縮から生まれ、核融合には届かない

観測対象のIC 348は、ペルセウス座の方向にある地球から約1000光年離れた星形成領域だ。欧州宇宙機関(ESA)が公開した観測成果は、この領域で恒星形成によって生じる天体がどこまで小さくなれるかを探った。

褐色矮星は、冷たい分子雲が収縮する過程を経て恒星と同様に生まれる。一方、その質量では中心部が水素をヘリウムへ融合できるほど高温にならず、通常の恒星にはならない。

NIRCamの撮像で低質量候補を選び出す

K・ルーマンとC・アルベス・デ・オリベイラを主任研究者とする観測プログラム4866は、2024年にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(Webb)の近赤外線カメラNIRCamでIC 348を撮像した。NIRCamは若い褐色矮星と新生星が放つ熱を捉えた。

得られた画像の色と明るさを手掛かりに、観測グループは褐色矮星の候補を選別した。この段階で低質量天体の候補を絞り込み、後続の分光観測へ渡した。

NIRSpecの分光観測で候補の質量を調べる

選別された候補は、2025年にWebbの近赤外線分光器NIRSpecで追観測された。分光観測によって各候補の性質を調べ、褐色矮星の質量を評価した。

撮像による候補選びと分光観測を段階的に組み合わせたことで、従来のIC 348観測より低い質量域まで探索が進んだ。色と明るさだけで探索を終えず、候補のスペクトルを質量の調査につなげた構成となる。

既知の質量下限が木星の3~4倍から2倍へ

観測から見つかった褐色矮星の質量は、最小で木星の2倍、太陽の0.19%だった。これは既知の褐色矮星で最も軽い天体に当たる。

同じ観測グループが2022年にIC 348を調べた際の下限は木星質量の3~4倍であり、今回の観測は既知の境界を2倍まで引き下げた。ESAは、これほど軽い褐色矮星が存在することは、恒星形成モデルに課題を突き付けるとしている。

円盤と炭化水素の特徴も最低質量域で検出

新たに見つかった軽量な褐色矮星の一つには、周囲に円盤がある兆候も認められた。ESAはこの兆候について、褐色矮星自体が惑星ほどの質量であっても、その周囲で惑星が形成されている可能性を示すとしている。

別の手掛かりは褐色矮星のスペクトルに現れた。観測グループは検出された特徴を炭化水素に由来すると判断しており、この特徴はこれまで最低質量域の褐色矮星の大気だけで観測されている。ESAは、この共通性が最低質量域の天体を独自のスペクトル分類として区別できる可能性を示すとしている。