Technology

量子計算機とスパコンの直接通信で必要な計算に量子処理

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    理研によると、量子計算機とスパコンの直接通信により、重要な計算へ量子処理を選択的に適用できる。

  2. 実現の仕組み

    基盤システムソフトウェアが計算機の基本動作を管理し、その上でほかのソフトウェアを動かす。

  3. 得られた結果

    導入された2種類の量子計算機で、研究者や機関を含む21の外部利用者が試験を進めている。

  4. 従来との違い

    理研の和光地区にイオントラップ型、神戸地区に超伝導型の量子計算機が導入された。

左のスーパーコンピューターから分岐する矢印が、イオントラップ装置と極低温容器内の超伝導回路型量子計算機へつながる編集イラスト。
AI生成画像

量子計算機とスーパーコンピューターをプログラムで直接通信させ、重要な計算に量子処理を選んで適用する仕組みの開発が進んでいる。理化学研究所が主導する開発では、イオントラップ型と超伝導型の実機を導入し、21の外部利用者が試験している。

量子計算の命令を従来型計算機から渡す

量子計算機は、計算を実行するために従来型計算機から命令の入力を受ける。理化学研究所の佐藤三久は、この入力が量子計算機による命令の理解と実行に必要だと説明している。

この制御を含む計算基盤を結ぶため、量子・スーパーコンピューター連携開発プロジェクトのJHPCquantumは、基盤システムソフトウェアを開発している。システムソフトウェアは計算機の基本動作を管理し、その上でほかのソフトウェアを動作させる。

直接通信で量子処理を使う計算を選ぶ

理化学研究所によると、開発中の仕組みでは、プログラムが量子計算機とスーパーコンピューターを直接通信させる。この通信によって、重要な計算へ量子処理を選択的に適用できるという。

接続先の量子計算機には、イオントラップ方式と超伝導方式の両方を採用している。将来どちらの方式が主流になるかが定まっていないため、方式の違いをまたいでソフトウェアの互換性を確保することを目指す。

イオンと超伝導回路の実機を導入

量子計算機メーカーのQuantinuumが開発したイオントラップ型量子計算機Reimeiは、2025年2月に理化学研究所の和光地区へ導入された。この計算機は電場でイオンを保持し、レーザーで制御して計算する。

もう一方の超伝導型量子計算機IBM Quantum System Twoは、2025年6月に神戸地区へ導入された。こちらは極低温で電気抵抗がなくなる電気回路を使い、量子操作を行う。

21の外部利用者が実機を試験

導入された2種類の量子計算機は、研究者や機関を含む21の外部利用者による試験に使われている。利用者は、科学、医療、技術の分野でこれらの計算機をどう利用できるかを探っている。

理化学研究所の児玉祐悦は、開発したシステムソフトウェア上のプログラミング環境を使って、実際の評価を進めるとしている。実機を用いた試験に、この環境での評価を組み込む計画だ。