Rafale F5では、通信、レーダー、電子戦、慣性航法、エンジンをまとめて更新する準備が契約段階へ進んだ。最大推力を20%高めるエンジンなどを、正式な機体開発に先行して設計する。
主要装備を正式な機体開発より先に固める
Rafale F5は、通信、センシング、電子戦、航法、推進系を同じ機体規格で更新する。フランス装備総局(DGA)は、正式な開発着手に先立ち、Dassault Aviation、MBDA、Safran、Thalesへ複数の装備開発契約を通知した。
今回の契約は、各装備を後にDassault Aviationが機体へ統合することを前提とする。正式な開発着手は2026年末、F5規格の認定は2033年ごろに予定されており、現段階は完成機の運用開始ではなく、統合対象となる装備を先行開発する段階に当たる。
低ドリフト航法と耐妨害データリンクを組み込む
慣性航法系では、超低ドリフトの半球共振ジャイロ(HRG)を用いる新しい慣性航法装置を開発する。Dassault Aviation向け契約に含まれるこの装置は、外部信号とは別に機体の運動を追跡する航法系の更新を担う。
通信系では、Thalesが航空機間データリンクInter-Vehicle Data Link(IVDL)の開発を受注した。IVDLには高帯域で秘匿性と耐妨害性を備えた新しい波形を採用する計画で、DGAが資金提供した長年の先行研究からシステム開発の発注段階へ移っている。
同じ搭載容積でレーダーの出力と計算能力を高める
新しい電子走査レーダーRBE2-XGは、現用のRBE2と同じ搭載容積を維持する設計である。機首側の空間条件を変えずにレーダーを置き換えられる構成とし、F5への機体統合につなげる。
DGAによると、RBE2-XGは送信出力を高めることで探知距離を延ばし、極めて小さいレーダー反射断面積の目標を識別する能力も強化する計画である。計算能力も増強し、センサー同士が操縦者の操作を介さず連携する構成や、人工知能の統合拡大に対応させるとしている。
SPECTRAの電子戦中核を全面デジタル化する
自衛システムSPECTRA F5は、ThalesとMBDA France向けの契約で更新される。探知と妨害の改善を目的に、電子戦機能の中核を全面的にデジタル化する計画である。
デジタル化の対象は、脅威信号が使う周波数帯の拡大や波形の複雑化へ対応する処理部分となる。通信を担うIVDL、周囲を捉えるRBE2-XG、脅威へ対処するSPECTRA F5を別々に先行開発し、後段の機体統合へ渡す構成である。
M88の基本構造を保ちながら最大推力を20%引き上げる
推進系では、Safran Aircraft EnginesがM88 T-REXエンジンの予備設計を担う。最大推力は現行M88-2の7.5トンから9トンへ20%引き上げることが目標とされている。
M88 T-REXは、M88-2のモジュール式アーキテクチャーと基本構造を維持しながら、一部のモジュールを変更する設計である。エンジン全体の構成を置き換えるのではなく、交換可能な単位を保ったまま推力向上に必要な部分を改める。