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海水を酸性化してCO₂を気体回収する基盤技術を開発

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    海水を介してCO₂を除去するシステムの基盤技術開発が完了し、現地での技術検証へ進める段階に達した。

  2. 実現の仕組み

    取り込んだ海水へ水素イオンを導入し、一時的に酸性度を高めてCO₂を気体として回収する。

  3. 得られた結果

    三菱電機は、開発したシステムの性能を確認し、実験データを蓄積したとしている。

  4. 従来との違い

    開発したシステムは、炭素を固体の炭酸塩として回収する方式とは異なる、CO₂を気体として回収する構成を採用した。

海岸の概念図で、海水が一時的な酸性化処理を通り、CO₂の気泡が別の管へ集まり、中和後の水が海へ戻る流れを示す。
AI生成画像

海水を一時的に酸性化し、CO₂を気体として回収するシステムの基盤技術開発が完了した。三菱電機とフィンランドの研究機関VTTは、システム性能の確認と実験データの蓄積を経て、沿岸での実証へ進む。

海水からの回収を大気のCO₂吸収につなぐ

三菱電機とフィンランドの研究機関VTTは、海水を介してCO₂を除去する海洋直接回収(DOC)システムの基盤技術開発を完了した。三菱電機は、開発したシステムの性能を確認し、実験データを蓄積したとしている。

DOCが利用するのは、大気と海洋の濃度差によって海がCO₂を吸収する仕組みだ。海水中の溶存無機炭素を回収して海水のCO₂濃度を下げることで、大気から海洋へのCO₂吸収を促す。

水素イオンで酸性度を高め、回収後に中和する

回収対象の溶存無機炭素は、水に溶けたCO₂だけでなく、炭酸、炭酸水素イオン、炭酸イオンなどを合わせた無機炭素成分の総量を指す。開発したシステムは、これを回収する電気化学的な処理に、海水を酸性化する方式のacid-DOCを採用した。

acid-DOCは、取り込んだ海水に水素イオンを導入して一時的に酸性度を高め、CO₂を気体として回収する。回収後の海水は中和し、環境への影響を抑える処理を施してから海へ戻す。

気体として回収したCO₂を貯留や原料利用へ

炭素を回収する際の形態は、採用する方式によって異なる。海水をアルカリ化する方式のbase-DOCでは、炭素を固体の炭酸塩鉱物として回収する。

三菱電機とVTTは、CO₂を気体として回収するacid-DOCが、CO₂の回収・貯留に対応するとしている。回収・利用にも対応し、その用途として合成燃料や工業原料を挙げている。

淡水化施設や発電所との統合を軸に沿岸実証へ

三菱電機とVTTは、既存の大規模な海水インフラへ統合できるシステム構成の開発に重点を置いている。統合先には、海水淡水化施設や発電所を想定する。

既存インフラへの統合によって、設備投資を抑えながら導入規模を拡大する方針だ。次の段階では沿岸の実証システムで技術を検証し、商用化に向けて新たな協力先を募る。