宇宙機の再突入による大気影響を調べるため、実際の設計情報を研究者へ共有する産学連携AIRSが始動した。材料構成や質量内訳は機密保持契約の下で扱い、部品配置などの詳細情報は参加者が共有範囲を決める。
再突入で放出される化合物をどうモデル化するか
宇宙機は再突入時の激しい加熱や大気中のガスとの相互作用によって、材料が溶融、破砕、気化する。これらの過程で化合物が上層大気のさまざまな層へ放出されるため、その影響の直接測定やモデル化が難しい。
衛星サービス企業のAstroscaleは、実際の製造データを入手しにくいことから、既存のシミュレーションが宇宙機について単純化した仮定に依存していると説明している。このデータ不足に対応するため、再突入の大気影響を研究する産学連携AIRSを開始した。
材料構成と質量内訳を機密保持契約の下で共有
AIRSは、宇宙機の運用者や製造者が、専有情報に当たらない設計情報を学術研究者へ共有する枠組みである。大気モデルの精度向上を目指し、商業上の機密を保護しながら実機の情報を研究へ渡す。
共有する情報には、材料構成やおおよその質量内訳が含まれる。これらは二者間の機密保持契約の下で提供できる。
部品配置や再突入条件の共有範囲は参加者が決める
材料構成や質量内訳より詳しい情報として、部品配置や想定される再突入プロファイルも共有対象となる。再突入プロファイルは再突入時に想定する条件を表す情報であり、こうした詳細データを提供するかどうかは参加者の裁量に委ねられる。
企業の宇宙機データと大学の大気研究を接続
創設参加者にはAstroscale、地球観測衛星企業のPlanet Labs PBC、英国のサウサンプトン大学が加わった。宇宙機の製造・運用に関わる企業と、大気影響を解析する大学が同じ枠組みに参加する体制となった。
Astroscaleは取り組みの調整を担い、Planetとともに自らの宇宙機データを提供する予定である。サウサンプトン大学は、航空宇宙工学と大気科学の研究能力を提供する。