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恒星周囲の塵の組成から天体衝突の規模の違いを推定

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    恒星周囲の塵の組成を識別し、残骸を生んだ天体衝突の規模を推定できるようになった。

  2. 実現の仕組み

    WebbとSpitzerの中間赤外線スペクトルの特徴を使い、円盤をシリカの多い群と少ない群に分類した。

  3. 得られた結果

    観測した21例の約3分の1はシリカが多く、火星サイズの天体による高エネルギー衝突を示唆した。

  4. 従来との違い

    Spitzerのアーカイブデータ5例にWebbの観測16例を合わせ、比較対象が21例になった。

恒星を取り巻く温かい塵の円盤の中で、火星サイズの天体同士の大規模衝突と月サイズの天体同士のかすめる衝突を対比した編集イラスト
AI生成画像

恒星の近くに温かい塵が大量に集まる円盤21例の観測から、塵の組成と天体衝突の規模の関係が見えてきた。シリカの多い円盤は火星サイズの天体による高エネルギー衝突を、少ない円盤は月サイズの天体によるより小規模な衝突を示唆する。

温かい塵が集中する円盤21例を比較

NASAが紹介した研究では、米国の研究機関Space Science Instituteの天文学者Kate Suらが、極端に塵の多いデブリ円盤21例を調べた。この種の円盤は恒星の近くに温かい塵を異常に多く含み、その場所は太陽系で岩石惑星が公転する領域に相当する。

比較に使った観測は、宇宙望遠鏡Spitzerのアーカイブデータによる5例と、James Webb Space Telescope(Webb)による16例からなる。Webbの観測対象には、新たに観測した12例に加え、Spitzerで観測済みの4例も含まれる。

中間赤外線で粒子の大きさと鉱物組成を読む

WebbとSpitzerの中間赤外線スペクトルから、塵粒子は原始惑星系円盤や通常のデブリ円盤にある粒子より小さいことが確認された。温かい塵が高い集中を示し、明るさが不規則に変動することも、この種の円盤に共通する特徴だった。

塵が放つ中間赤外線のスペクトルの特徴は、その鉱物組成を識別する手掛かりになる。Suらは組成を調べることで、観測対象をシリカの多い円盤と少ない円盤の二つに分類した。

シリカの割合から異なる衝突規模を推定

シリカの多い円盤は、観測標本の約3分の1を占めた。Suらはこの組成を、火星サイズの天体同士による高エネルギー衝突の痕跡と解釈している。そのような衝突では、物質の相当部分が蒸発すると考えられる。

残りの約3分の2はシリカの少ない円盤だった。この組成は、月サイズの天体同士がかすめ合うような、より小規模な衝突を示唆する。天体の大きさや衝突の様子は直接観測した結果ではなく、残された塵の組成に基づく推定である。

恒星の年齢と明るさの変動にも差

二つの群は、周囲の恒星の年齢にも違いがあった。シリカの多い円盤は、今回の観測標本では年齢3億年未満の恒星の周囲にだけ見つかった。一方、シリカの少ない円盤は幅広い年齢の恒星の周囲に存在する。

シリカの少ない円盤は、より大きな明るさの変動を示すことも多かった。Suらは、新たに生じた衝突残骸が軌道の変化や追加の衝突によって急速に進化することで、この変動が生じるという仮説を提示している。