量子系で振動の移動を妨げる「暗いモード」を、一時的に外場と結合する状態へ切り替える方法が示された。人工的な量子情報を系に導入することで、暗いモードに阻まれていたフォノンのトポロジカルな操作が可能になったという。
外場に応答しないモードが制御から取り残される
暗いモードは、特定の外場との結合が完全に切れた状態にある。理化学研究所の量子コンピュータ研究センターに所属する物理学者Franco Noriは、ほかのモードを駆動する場からも見えないことが、「暗い」と呼ばれる理由だと説明している。これに対し、その駆動場と結合するモードは「明るいモード」と呼ばれる。
暗いモードが振動の変換と移動を止める
外場との結合が切れると、非エルミートと呼ばれる量子系では、トポロジカルな応答が完全に抑制される場合がある。Noriは、暗いモードが存在すると、異なるモード間の変換と、振動の量子であるフォノンのトポロジカルな移動が機能しなくなると説明している。この状態は通常の対処では回復できず、暗いモードそのものを操作する必要があった。
人工的な量子情報で明るい状態へ切り替える
Noriと、同じ研究センターに所属するDeng-Gao Lai、Adam Miranowiczは、系に人工的な量子情報を導入して暗いモードを操作した。この操作によって、暗いモードを一時的に明るいモードへ切り替える方法を示した。Laiは、このモードの遷移によって、暗いモードに阻まれていたトポロジカルな操作が可能になると説明している。
振動を閉じ込めるゲートを開いて移動を制御する
研究対象の光機械系では、暗いフォノンモードがゲートとして働き、フォノンを閉じ込める。この閉じ込めがフォノン・ブロッケードと呼ばれる状態に対応する。暗いモードを操作するとゲートを開くことができ、閉じ込められたフォノンの移動を制御する経路になる。