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英国の大気汚染を2~3平方キロメートルの解像度で予測するAIモデル

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    英国全土の大気汚染を2〜3平方キロメートルの解像度でモデル化し、将来の汚染シナリオを予測できる。

  2. 実現の仕組み

    化学気候シミュレーションから作った1時間間隔のデータを、生成ダウンスケーリングモデルEarth-2 CorrDiffへ学習させる。

  3. 得られた結果

    8基のGPUで構成するIsambard-AIの単一ノードを使い、1年分の英国データによる学習を2日間で完了した。

  4. 従来との違い

    国立AIスーパーコンピューターでの学習から、DGX Spark上での推論と小規模な学習まで実行環境が広がった。

英国全土の大気汚染分布が粗い格子から細かな地域解像度へ生成的に変換される様子を示す科学イラスト
AI生成画像

生成AIによるダウンスケーリングを大気汚染へ適用し、英国全土を2〜3平方キロメートルの解像度で扱うモデルが構築された。1年分のデータを使う学習は、8基のGPUで2日間を要した。

化学気候シミュレーションを大気汚染モデルの学習データへ変える

マンチェスター大学の研究者らはNVIDIAのEarth-2チームと協力し、既存の化学気候シミュレーションから大気汚染場の学習データを生成した。対象となるEarth-2 CorrDiffは、粗い入力から空間的に詳しい場を生成する生成ダウンスケーリングモデルである。

学習データには、英国の大気汚染を1時間間隔でシミュレーションした1年分の値を使った。時間ごとに並ぶ英国全域の汚染場をCorrDiffへ与えることで、化学反応を含むシミュレーションを予測のたびに実行する構成ではなく、その出力から詳細な汚染分布を生成するモデルを学習させた。

2日間の学習で英国全土を2〜3平方キロの解像度にする

学習後のモデルは、英国全土を2〜3平方キロメートルの解像度で表す大気汚染場を生成する。低い空間解像度を細密化するCorrDiffの処理により、全国規模の範囲と地域ごとの分布を一つのモデルで扱う構成となった。

NVIDIAによると、学習には英国の国立AIスーパーコンピューターIsambard-AIを使用し、8基のGPUで構成する単一ノード上で2日間を要した。大気汚染データへのCorrDiffの適用は最初の試行で動作し、1年分の時間別データから全国モデルを構築できたという。

観測値を取り込み、時間とともに変わる汚染を予測する

研究者らはCorrDiffによる空間の細密化に加え、生成型の地域予測モデルEarth-2 StormCastをワークフローへ組み込んだ。StormCastは大気質の観測値を直接入力に使い、時間とともに変化する汚染場を予測する。

構築した英国全土モデルは、過去1年間の大気汚染を振り返る用途に加え、条件を変えた将来の大気汚染シナリオを予測できる。空間分布を生成する処理へ観測値に基づく時間変化を接続することで、固定された汚染地図ではなく、時系列の予測を扱う構成になった。

スーパーコンピューターで作った処理をデスクトップへ移す

学習と推論の実行環境は、Isambard-AIだけに限られない。研究者らは、GB10 Grace Blackwell Superchipを搭載するデスクトップAIシステムDGX Spark上で、テスト用の学習・推論ワークフローが動作することを示した。

同じ生成型の大気汚染ワークフローは、DGX Spark上で推論と小規模な学習を実行できる。全国モデルの本格的な学習には8基のGPUを持つスーパーコンピューターのノードを使いつつ、学習済みモデルの実行や規模を抑えた再学習はデスクトップへ移せる構成となった。