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若い星が削る約3.5光年の空洞をウェッブ望遠鏡が捉える

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    星形成領域NGC 7129で、塵の雲に隠れていた多数の星を赤外線画像で捉えた。

  2. 実現の仕組み

    中心星の噴出流が水素分子雲を削り、噴出流と星の光が周囲のガスを発光させる。

  3. 得られた結果

    中心星の左側には約3.5光年の空洞が広がり、右側ではより若い原始星の噴出流が重なって見える。

  4. 従来との違い

    星が作る高温の環境と低温の分子ガスとの境界では、水素が分子から原子へ分かれている。

NGC 7129の星形成雲を描いた編集イラスト。中央付近の若い星の左には金色に縁取られた大きな空洞が広がり、右側の赤いガス塊では複数の原始星の噴出流が周囲の雲と交差している。
AI生成画像

若い星の噴出流がガスを削って作る約3.5光年の空洞を、ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた。観測対象は星形成領域NGC 7129。赤外線画像には塵に隠れていた星々が現れ、成長段階の異なる星が周囲のガスに及ぼす作用が見える。

赤外線が塵に隠れた星々を捉える

欧州宇宙機関(ESA)が公開したジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の画像は、地球から約3300光年にある星形成領域NGC 7129を捉えている。この領域では、多数の星が塵の雲に隠れていた。

撮像に使われた赤外線は、他の種類の光を散乱または吸収する高密度の物質を透過する。その光を捉えたことで、雲に埋もれた星々が画像に現れた。

中心星の噴出流が分子雲に大きな空洞を作る

画像の中心で明るく輝く星LkH(alpha) 234は、太陽の約5〜8倍の質量を持つ。水素の核融合を本格的に始める前の前主系列星で、質量の集積をほぼ終え、重力による収縮で温度が上昇する段階にある。

この星の左側には、画像で金色に表現された空洞が約3.5光年にわたって広がる。星のより早い成長段階に生じた噴出流が、高密度の水素分子雲を削っている。噴出流と星の光がガスにエネルギーを与えることで、空洞のガスは発光する。

空洞の周囲でガスの圧縮と光解離が進む

空洞周辺の水素ガスは吹き払われる一方、多量のガスが圧縮され、さらに星が形成される条件も生じている。空洞内にも若い星があり、その恒星風が周囲のガスに押し入ることで、より小さな空洞と弓状の衝撃波を作っている。

中心星と空洞内の星が作る高温の環境は、外側の低温で高密度の分子ガスを押す。両者の境界は光解離領域と呼ばれ、ここでは水素分子が原子に分かれている。

右側の原始星は噴出流で衝撃波を生む

中心星の右側にある、赤く表現された塊状の物質には、左側の星より若い原始星が隠れている。これらの原始星は物質を集めて質量を増やす過程で、高温の物質を周囲へ噴出する。

噴出した物質が原始星を包む高密度の物質と相互作用し、衝撃波を生むことで、画像に見える複雑な構造ができる。複数の星の噴出流が視線方向に重なるため、右側のガスは入り乱れて見える。