紫外線で未観測だった全天の約3分の1をAIの推定で補い、観測データとつないだ全天地図が完成した。科学研究向けAIのClaude Scienceは、異なる装置のデータを校正・統合し、他の波長との関係から欠損域を補完した。実測と予測を画素ごとに区別するレイヤーも備える。
明るい星を避けた観測に残る空白
紫外線の全天地図は、実際の観測と未観測域の推定を組み合わせて完成した。ジョンズ・ホプキンズ大学の天体物理学者でAnthropicの研究者でもあるBrice Ménardは、科学研究向けAIのClaude Scienceと地図の初版を作成した。
土台となるNASAの紫外線観測ミッションGALEXは、全天の約3分の2を観測していた。非常に明るい星は検出器を損傷する危険があるため、星が密集する銀河面を含む領域が観測対象から外されていた。
星の光の混入を除き、観測装置間の尺度をそろえる
Claudeが統括するAIエージェントは、公開された紫外線観測データを収集し、観測群ごとの内部整合性を整えた。明るい星から周辺へ混入する光を除去し、星の周囲にある淡い紫外線を測定できる状態にした。
整えたデータを結合する段階では、異なる装置が捉える紫外線の違いを相互校正した。さらに解像度と座標系をそろえ、別々の観測を一つの地図へ統合した。
他の波長から紫外線を推定し、隠した実測値と照合
欠けた領域の補完には、画像の欠損部分を推定するinpaintingを用いた。紫外線観測のある全天の約3分の2で、紫外線の明るさと可視光・赤外線・電波との関係を学習し、その関係を未観測域へ適用した。各地点の明るさに加えて、推定の確信度も求めた。
Ménardが行わせた検証では、紫外線の実測値がある領域の一部を意図的に隠し、その値を参照せずに補完した。複数回の改良後、予測値と隠した実測値の差は約10%以内になったという。この結果は、観測済み領域を使った欠損補完の検証で得られたものだ。
1億個超の星を加え、実測と予測を区別する
補完した拡散背景には、欧州宇宙機関の観測衛星Gaiaが可視光で測定した1億個超の星から推定した紫外線光を加えた。完成した地図は、波長154 nmの遠紫外線と232 nmの近紫外線を組み合わせている。
銀河面の大部分を含む地図の約3分の1は、Claude Scienceによる予測で埋められた。地図には各画素を実測か予測かに分類する追加レイヤーと、不確かさの推定値が用意されている。