銀行の旧システムから業務ルールを取り出し、AIでPythonの金融商品コードへ変換する移行処理が加わった。コードの逐次翻訳に代えて、仕様の抽出、重複の整理、コード生成、人による承認をつなぎ、評価用の環境へ渡す。
移行の対象をコードの行から業務ルールへ
銀行の基幹システムを開発するThought Machineは、AWSのシステム刷新サービスAWS TransformとAIツール群Vault Forgeを組み合わせた移行ソリューションを発表した。Thought Machineによると、この移行処理は旧システムのコードを一行ずつ翻訳する代わりに、そこに埋め込まれた業務上の意図を抽出する。
変換先となる銀行向け基盤Vaultプラットフォームは、金融商品のロジックを基盤から分離し、Pythonコードで定義する。利息計算、手数料、返済手順、口座のライフサイクルといったルールを、基盤とは切り離された商品コードとして表現する構成だ。
旧アプリケーションから仕様を取り出して整理する
最初の工程では、AWS Transformが旧アプリケーションを調査し、リバースエンジニアリングで業務ロジックを抽出する。抽出先には、要件を構造化して記述する形式のEARSを使い、コードに含まれるルールを仕様として表す。
続く統合工程は、数百に及ぶ重複した旧金融商品の派生形を、整理された業務仕様へまとめる。抽出と整理を経た仕様が、次のコード生成工程へ渡される。
AIエージェントが商品コードとテストを生成する
生成工程では、Vault Forgeが生成AIサービスAmazon Bedrockを介して専門化したAIエージェントを制御する。エージェントは業務仕様から、SDKに準拠したPythonの金融商品コードを生成する。
生成対象には、商品コードに加えてテスト群とプラットフォーム設定も含まれる。仕様の抽出からこれらの生成までを含む全工程は、銀行のセキュアなAWS環境内で動作する。
銀行の承認を経てサンドボックスへ渡す
生成後の検証工程には、人が処理に関与するレビューの関門が設けられている。銀行のエンジニアリング担当とリスク管理担当が明示的な承認権限を持ち、生成された金融商品の確認に関与する。
Thought Machineによると、検証済みの金融商品はVaultプラットフォームのサンドボックスへ配置できる。生成物をこの評価環境へ渡すことで、追加の評価を進めることができる。