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宇宙望遠鏡データの誤信号を市民が検証、AIの識別改善へつなぐ

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    参加者がEuclidの実観測データを見て、AIが無効と判断した画素の正否を検証できるようになった。

  2. 実現の仕組み

    AIの判定画素を青色で示し、人が望遠鏡筐体の反射や宇宙線などに由来するartifactかどうかを見分ける。

  3. 得られた結果

    参加者の判定は、artifact識別用AIツールを導く指示の改善に利用される。

  4. 従来との違い

    比較的新しい観測装置ではAIだけで正確に識別できない場合があった工程に、人による判定の検証が加わった。

宇宙望遠鏡の画像上で青く示された誤信号候補を確認する市民研究者のAI生成画像
AI生成画像

宇宙望遠鏡の観測データでAIが無効と判定した画素を市民が検証し、その結果を識別用AIへの指示改善につなぐプロジェクトが始まった。対象はEuclidの実データで、2027年初頭からRoman宇宙望遠鏡も加わる計画だ。

Euclidの実観測データを市民が判定

NASAの新しい市民科学プロジェクトArtifact InSPECtorは、参加者が宇宙望遠鏡Euclidの実観測データを調べ、artifactを見分ける作業を提供する。専用の観測設備は必要なく、スマートフォン、タブレット、コンピューターから参加できる。

参加者には望遠鏡データの中でartifactを認識する方法が示される。これにより、観測の専門家だけでなく一般の参加者も、AIによるデータ処理の検証工程を担う。

天体以外の信号がスペクトル解析へ混入

artifactは、銀河や恒星といった実在する天体以外に由来する信号の総称だ。望遠鏡筐体で反射した光や検出器に当たった宇宙線は、観測対象とは別の信号をデータ内に残す。

カメラや電子回路の特性もartifactの発生源となる。こうした信号が残ったままでは天体由来の情報と区別する必要があるため、後段の解析に先立って検出し、取り除く処理が必要になる。

AIが無効とした画素を人が再確認

天文学者が作成したAIツールは、観測データからartifactを認識するよう学習する。ただし、比較的新しい観測装置から得たデータでは、AIがartifactを常に正確に区別できるとは限らない。

Artifact InSPECtorは、AIモデルが無効と判断した画素を青色で示し、参加者にその判断が正しいかを確かめてもらう。NASAによると、この検証作業はartifact識別用AIツールを導く指示の改善に利用される。

EuclidからRoman宇宙望遠鏡へ対象を拡張

欧州宇宙機関(ESA)が建造しNASAが主要な貢献を行ったEuclidは、数百万個の遠方銀河から届く光を収集している。Artifact InSPECtorは、まずこの宇宙望遠鏡の観測データを市民による検証へ回す。

プロジェクトは2027年初頭から、NASAのNancy Grace Roman Space Telescopeが取得するデータも参加者へ提供する計画だ。二つの宇宙望遠鏡は、異なる距離と空の密度で同程度の数の銀河を捉える相補的な観測を担う。

分光器が得た銀河の情報をartifact除去後に解析

EuclidとNancy Grace Roman Space Telescopeは、プリズムのように銀河の光を色ごとに分ける分光器を使用する。分割された光のパターンであるスペクトルから、銀河までの距離や含まれる恒星の種類、中心にある超大質量ブラックホールに関する情報を調べられる。

この解析へ進む前に、天体以外の信号をデータから識別する必要がある。二つの宇宙望遠鏡による相補的な観測は、宇宙の膨張とダークエネルギーを調べるために用いられる。