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デバイス寿命を維持して最先端比約5倍のRF電力密度を実証

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    RFデバイスは、防衛用途に必要な寿命を保ったまま、現在の最先端デバイス比で約5倍のRF電力密度を出せることが実証された。

  2. 実現の仕組み

    新材料とデバイス構造、熱管理手法が、チャネル電流とRF性能を保ちながら、デバイス内部の熱抵抗を下げて高出力トランジスタから熱を移す。

  3. 得られた結果

    約5倍のRF電力密度は、運用換算でレーダー到達距離がおよそ2倍になる水準に相当する。

  4. 従来との違い

    RF電子機器の熱管理はPhase Iの性能実証を終え、電力水準と熱性能をさらに高めるPhase IIの作業段階へ移った。

高出力RFトランジスタの発熱部から層状の熱拡散構造へ熱が移り、RF信号が流れる概念断面図
AI生成画像

RFトランジスタから熱を逃がす技術が、用途に必要なデバイス寿命を維持しながら、現在の最先端デバイス比で約5倍のRF電力密度を実証した。DARPAの熱管理プログラムTHREADSがPhase Iで得た成果である。

トランジスタの熱がRF増幅器の性能と寿命を制限

RF増幅器の基本部品であるトランジスタは、過剰な熱が生じると性能と寿命が低下する。発熱部に近いデバイス段階で熱を処理できなければ、電子回路の能力が高くてもRFシステムはその上限まで動作できない。

DARPAの熱管理プログラムTHREADSは、この制約に対し、新材料、デバイス構造、熱管理手法を組み合わせてRF電子機器から熱を除去する。対象をトランジスタ段階に置き、内部回路で発生した熱を移動させるときの抵抗を減らす構成を開発する。

電流輸送を保ちながらデバイス内部の熱抵抗を低減

第一の技術課題は、チャネル電流の輸送特性を維持したまま、デバイス内部の熱抵抗を下げることである。放熱のために材料や構造を変えても、電流輸送が損なわれれば増幅器の性能向上にはつながらない。

第二の課題は、高出力トランジスタで生じた熱を効率よく移動させながら、RF性能の低下を防ぐことである。内部の熱抵抗を下げる処理と発熱部から熱を運び去る処理を、トランジスタの電気的な動作を保つ条件の下で両立させる。

Xバンド試験デバイスに熱抵抗と電力密度の到達目標

開発対象は、熱管理を改善した高効率で信頼性のあるXバンドトランジスタと、電力増幅器の試験デバイスである。高出力化だけでなく、RF増幅機能と信頼性を保つことが開発条件に含まれる。

THREADSは、熱抵抗を8分の1へ低減し、電力密度を81 W/mmにすることを最終的な到達目標に置く。この目標値はプログラム全体が目指す性能であり、Phase Iで得られた最先端デバイスとの比較結果とは異なる。

Phase Iで約5倍のRF電力密度と寿命維持を実証

THREADSはPhase Iを完了した。DARPAによると、参加者は現在の最先端デバイスと比べて約5倍のRF電力密度を実証したという。

この結果は、実際の防衛用途に必要なデバイス寿命を維持した状態で得られた。電力密度の向上と寿命の維持が同じ実証結果に含まれるため、短時間だけ出力を高めたという成果ではなく、用途に必要な寿命条件を保った性能として示されている。

部品性能をレーダーの到達距離とシステム条件へ接続

DARPAは、Phase Iで得られた約5倍のRF電力密度を運用面に換算すると、レーダー到達距離のおよそ2倍に相当すると説明している。これは、高いRF出力を既存のサイズや重量の制約内で利用する場合のシステム上の効果を示した換算である。

Phase IIでは、参加者が電力水準と熱性能をさらに高める作業を進めている。DARPAは並行して、現在および将来の軍用プラットフォームに関係するRF電力の閾値を特定するシステムレベル研究を開始した。

この研究は、デバイス側で高めたRF電力をシステム側の要求へ結び付ける条件を調べる。結果は技術移行の検討に役立てるため、政府機関と政府請負業者へ提供される予定である。