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宇宙誕生約6億7000万年後に輝いた最古のクエーサー2天体を発見

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    暗く恒星と見分けにくい初期宇宙のクエーサーを、広い空域から効率よく選び出せるようになった。

  2. 実現の仕組み

    広域・高深度・高解像度の赤外線撮像と大規模データ処理を組み合わせ、希少な遠方天体を詳細観測の候補へ絞り込む。

  3. 得られた結果

    赤方偏移7.77と7.69の2天体が従来記録の7.64を上回り、観測史上最古のクエーサーとなった。

  4. 従来との違い

    赤方偏移7以上の発見が10年以上で約10天体だった段階から、1年間で12天体を加える探索規模へ変わった。

初期宇宙の暗い銀河群の中で、赤外線観測によって見いだされた2つの明るいクエーサーを描いた編集イラスト
AI生成画像

広域・高深度・高解像度の赤外線観測により、初期宇宙のクエーサー31天体が見つかった。うち2天体は宇宙誕生約6億7000万年後に輝き、観測史上最古の記録を更新した。

赤方偏移7.77と7.69で最古記録を更新

欧州宇宙機関(ESA)が運用する宇宙望遠鏡Euclidは、初期宇宙にある新たなクエーサー31天体を発見した。このうち12天体は、宇宙膨張に伴って光の波長が引き伸ばされた度合いを示す赤方偏移が7以上で、宇宙誕生後7億7000万年以内の時代に位置する。

EUCL J172902.75+641018.1の赤方偏移は7.77、EUCL J125308.55+705432.3は7.69だった。2天体はいずれも従来記録の7.64を上回り、宇宙誕生約6億7000万年後に輝いていた観測史上最古のクエーサーとなった。

ブラックホールへの物質流入が生む強い光

クエーサーは、大量の物質が銀河中心の超大質量ブラックホールへ渦を巻きながら流入し、膨大なエネルギーを放出する銀河の一時的な活動段階である。この段階では銀河核が強く輝き、母銀河の残りの部分より数百倍から数千倍明るくなることがある。

初期宇宙では、十分に大きく成長した銀河がまだ少なく、クエーサー自体が希少だった。地球へ届く初期の光は暗いうえ、手前にある恒星の光と混同しやすいため、初期クエーサーをまとまった数で見つけることは難しかった。

広域の赤外線撮像から遠方天体を選別

Euclidは、広い観測範囲と深度、高解像度撮像、宇宙からの赤外線観測を一つの探索に組み合わせる。ESAによると、この構成により、広い空域にまばらに存在する希少で非常に遠い天体を従来より効率よく選び出せるという。

撮像で得た大規模データは、2000人を超える科学者から成る観測・データ解析組織Euclid Consortiumが処理する。この処理は希少な遠方クエーサーを特定し、地上望遠鏡で詳しく観測する候補へ絞り込む作業を支えている。

明るい少数例から暗い天体を含む集団へ

31天体は、Euclidの広域観測計画Euclid Wide Surveyのデータから見つかった。この観測は完了時に全天の3分の1を超える範囲を覆う計画で、希少な天体を探すための広い観測領域をつくる。

従来知られていた初期クエーサーは、検出しやすい最も明るい少数例に偏っていた。ESAによると、Euclidはより暗い天体を含む集団を捉え、個々の明るい例だけでなく、初期クエーサーを集団として調べるための対象を増やした。

探索規模の変化は、赤方偏移7以上の天体数に表れている。最初の約10天体を発見するまでには10年以上を要したが、Euclidは1年間で12天体を発見した。

再電離期のクエーサーが映す母銀河

今回発見されたクエーサーは、再電離期と呼ばれる宇宙史上の移行期に位置する。この時代には、冷たく暗かった宇宙が、高エネルギー光によって物質の電離した状態へ移っていった。

2番目に古いEUCL J125308.55+705432.3の詳細観測では、クエーサーが塵とガスに満ちた銀河に埋め込まれ、その銀河で活発な星形成が進んでいることが示された。広域探索で得た最古級のクエーサーは、中心の超大質量ブラックホールと、それを取り巻く母銀河の環境を調べる観測対象となる。