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巨星の風がパルサーへ落ち、X線フレアを駆動する流れを直接観測

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    巨星から流出した恒星風が伴星のパルサーへ取り込まれる様子を、高分解能X線分光で直接捉えた。

  2. 実現の仕組み

    高電離鉄の吸収線に生じた赤方偏移から、パルサー近傍を移動するプラズマの向きと速度を求めた。

  3. 得られた結果

    プラズマが毎時約54万キロメートルでパルサーへ向かい、強いX線フレアのエネルギー源となることが示された。

  4. 従来との違い

    高密度の流れを進むパルサーの周囲では、乱れた降着円盤を介する流入から、中性子星への直接落下へ状態が移ると解釈された。

巨星から流出した恒星風がパルサーへ流入しX線フレアを駆動する様子
AI生成画像

巨星から吹き出す恒星風が伴星のパルサーへ取り込まれ、強いX線フレアを駆動する流れが直接捉えられた。鉄の吸収線は、プラズマが毎時約54万キロメートルでパルサーへ向かうことを示した。

巨星の恒星風がパルサーのフレアを駆動する

大質量X線連星BP Crucisでは、青色極超巨星Wray 977から流出した恒星風が、コンパクトな伴星GX 301-2へ取り込まれている。XRISMの観測データは、このプラズマの捕獲を直接捉え、取り込まれた物質が強いX線フレアのエネルギー源となることを示した。

BP Crucisは地球から約1万3000光年離れている。主星Wray 977は太陽の約40倍の質量と約60倍の大きさを持ち、高温で明るい巨星から電離ガスが恒星風として絶えず流れ出している。

41.5日の軌道が高密度のプラズマ流を横切る

恒星風を受けるGX 301-2は、直径約20キロメートルの中性子星に太陽を上回る質量が詰まった天体である。約11分ごとに自転し、X線ビームを地球方向へ周期的に向けるため、パルサーとして観測される。

このパルサーは41.5日で主星を一周し、最接近点と最遠点の付近で数日間続く強いX線フレアを起こす。主星に対するパルサーの重力作用で恒星風の一部が高密度の流れとなり、パルサーがそこを横切って物質を取り込むことが、フレア発生の仕組みと考えられている。

鉄の吸収線から流入の向きと速度を測る

XRISMは2025年2月1日、強いフレアの終盤にBP Crucisを約16時間追跡した。NASAと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同開発した高分解能X線分光器Resolveは、パルサー近傍のプラズマに由来する高電離鉄の吸収線を検出した。

この吸収線は、実験室で測る場合より低いエネルギー側へずれていた。赤方偏移と呼ばれるこの変化は、ガスが観測者から遠ざかり、パルサーへ向かっていることを示す。ずれの大きさから求めた流入速度は、毎時約54万キロメートルだった。

乱れた降着円盤がX線を生み、やがて崩れる

研究チームの解釈では、パルサーが高密度の流れへ入ると、捕らえたガスが厚く乱れた降着円盤を形成する。円盤内のプラズマは渦を巻きながらパルサーへ近づき、加熱されてX線を放つことでフレアを駆動する。

パルサーが流れの奥へ進むと、円盤を支えるために必要な角運動量が不足し、乱れた円盤は崩れる。その後はプラズマが中性子星へ直接落下する状態へ移り、XRISMはこの段階の終盤を観測した。

流れの出口で逆回転の円盤が一時的に戻る

パルサーが高密度の流れの出口へ近づくと、乱れた降着円盤が一時的に再形成されると研究チームはみている。この円盤は最初にできた円盤とは逆方向に回り、恒星風に対するパルサーの位置が変わることで、流入物質の回転方向も切り替わる。

再形成された円盤は、パルサーが高密度の流れを抜けると消える。円盤の形成、直接落下、逆回転する円盤の再形成までを含む通過時間は約4日間である。