水素を微小な火炎に分散して燃やす新型燃焼器が、小型航空エンジンで低NOx性能と運転安定性を両立した。川崎重工業による水素100%燃料の試験では、巡航相当の定常運転や加減速を含む条件で、安定した燃焼と推力発生を確認した。
発電用の燃焼技術を航空エンジンへ組み込む
川崎重工業は、独自の低NOx燃焼技術を採用した新型水素燃焼器を小型航空エンジンに搭載した。燃焼器の基になるマイクロミックス燃焼技術は、発電用ガスタービン向けに開発・製品化したもので、今回は航空用水素エンジンへ応用した。
多数の微小火炎で局所的な高温を抑える
マイクロミックス燃焼技術は、水素を多数の微小火炎に分散して燃焼させる。この分散によって局所的な高温領域の発生を抑え、NOx排出量を大幅に低減できると川崎重工業は説明している。
水素100%で巡航相当の運転と加減速を試す
新型燃焼器を搭載したエンジンの試験は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場で、水素100%燃料を用いて実施した。川崎重工業は、始動から回転上昇、巡航相当の定常運転、加減速運転、停止までの一連の条件で、安定した燃焼と推力発生を確認したとしている。
低NOxと運転安定性の両立を確認
川崎重工業は、これらの運転条件を通じ、航空エンジンに必要な運転安定性と低NOx性能の両立を確認したとしている。この結果から、航空エンジン排出ガス規制への対応に加え、世界最高レベルの低NOx性能を実現できる見通しを得たという。世界最高レベルという評価は、今回の試験を踏まえた実現見通しとして位置付けている。
機体と燃料タンクを統合する地上実証へ
水素航空機向けコア技術開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の一環で、開発期間は2021年から2030年までとなっている。川崎重工業は、機体、エンジン、燃料タンクなどの技術を統合し、水素航空機システムとしての成立性と性能を検証する地上実証試験を計画している。