地図画像から通行可能な領域を取り出し、経路計算とAIの品質確認を経て訓練データにする手法が登場した。画像の生成から経路の注釈までを自動化し、合成地図を使ってAIに経路追跡を学習させる。
地図の説明文から経路学習用の画像を作る
Googleが開発した経路追跡用データ生成手法MapTraceは、大量の実世界の地図を収集せずに、通行不能領域を避ける経路注釈を作る。地図画像を作る処理と、その画像に経路を付ける処理を一つの自動生成工程へ組み込んだ。
最初に大規模言語モデルが、動物園や商業施設、テーマパークなどの地図を説明する文章を作る。この説明文を画像生成モデルへ渡して地図画像にし、次に画像内のどこを通行可能な領域として扱うかを選別する。
色で分けた領域をAIが通路として選別する
地図画像の画素は色ごとにクラスタリングされ、通行可能領域を白黒で表すマスクの候補になる。ただし、色でまとまった領域が通路として妥当かどうかは、別の判定処理で確認する。
マスクを判定するAIのMask Criticは、元の地図画像と候補を合わせて見て、歩道や横断歩道などの通行可能領域を主に含んでいるかを評価する。高品質と判定された候補だけが、通路の接続関係を計算する次の工程へ進む。
通路の接続関係から最短経路を計算する
選別したマスクは、通行可能領域の接続関係を表すグラフへ変換される。交差点を節点、交差点間の道を辺として扱うように、画像上のつながりを経路計算に使える構造へ置き換える。
生成処理は、このグラフ上で始点と終点をランダムに選び、ダイクストラ法で両点間の最短経路を求める。計算した経路を地図画像へ重ねると、経路を判定するAIのPath Criticが、その経路の妥当性を最終確認する。
2万3000経路で追加学習し、実世界の地図で評価
Googleは、自動生成した200万組の質問・回答データを公開した。その一部に当たる2万3000経路を使い、画像と言語を扱う大規模モデルのGemma 3 27BとGemini 2.5 Flashを含む複数モデルを追加学習した。
追加学習したモデルは、学習中に見ていない実世界の地図からなる評価用データセットMapBenchで評価された。Googleは、対象を絞った合成データによって、こうしたモデルに地図上の経路追跡を学習させられることを示したとしている。