細胞の測定値を示す散布図と、多次元情報を俯瞰するグラフを、一細胞ごとに照合する解析クラウドが開発された。測定装置の生データを直接取り込み、細胞集団の選択と自動分類を組み合わせる。ソニーは2022年度中の提供開始を予定している。
測定装置のデータと解析情報をそのまま取り込む
ソニーが開発した細胞解析クラウド「SFA – Life Sciences Cloud Platform」は、スペクトル型の細胞解析装置ID7000で得られたデータを扱う。装置の生データと付属ソフトウェアの解析結果を、別のフォーマットへ変換せずに取り込むことができる。
取り込める情報には、解析したワークシート情報だけでなく、蛍光シグナルの強度情報へ変換する前のスペクトルデータも含まれる。解析後も生データに立ち返って分析を見直せるほか、散乱光や蛍光の強度などから特定の細胞集団を選ぶゲーティングを、高度な解析手法と組み合わせて使うことができる。
ノイズを除き、多次元の細胞情報を俯瞰する
取り込んだ測定データには、送液の乱れなどによって生じるノイズを自動検出・除去するデータクリーニングを適用できる。この処理は次元削減やクラスタリングの前に実行し、後続の解析に渡すデータを整える。
次元削減には、多次元データの重要な情報をできる限り保持しながら低次元へ変換する手法UMAPとFIt-SNEを利用できる。これらの手法やクラスタリング用のBL-FlowSOMはクラウド環境にあらかじめ組み込まれているため、利用者がプラグインとして追加する必要はない。
一括学習で細胞集団を分類するBL-FlowSOM
細胞集団の分類には、既存のクラスタリング手法FlowSOMを基に開発したBL-FlowSOMを搭載する。名称のBLはBatch Learningを指し、学習対象のデータをすべて一括で処理する方法である。ソニーは、この新しい手法で解析の高速化と解析結果の再現性向上を実現したとしている。
分類結果に対しては、細かなクラスタを細胞の特性ごとに大まかにまとめたメタクラスタを編集できる。クラスタとメタクラスタの双方について、抗原がどれだけ発現しているかを示すヒートマップ解析も利用でき、分類した集団の特性を確認することができる。
解析結果を一細胞単位で照合し、共同解析へ渡す
解析後の表示は、測定値を示す二次元プロットや次元削減プロットなどを画面上で連携させて操作できる。ソニーによると、従来できなかった二次元プロットと次元削減プロットの対比を一細胞ごとに行えるようになったという。
実験データは、プロジェクト単位で設ける共同解析場所で共有できる。そこへアクセスできるユーザーとデータの公開範囲を管理し、共同で解析する対象と参加者を設定することができる。
提供開始は2022年度中を予定している。ソニーは当初、ワークステーションとのセットで、年間契約を基本として提供する。