4万2000m³級の低圧液化CO₂輸送船が、取扱作業のリスク評価と安全重視の設計方針の策定を経て、基本設計承認を取得した。承認は船舶設計会社MILESを活用する標準設計の枠組みで初めてとなり、確立した方針は輸送船の標準設計へ反映する予定だ。
4万2000m³級の基本設計が安全基準に適合
標準化を進める低圧液化CO₂輸送船について、三菱造船、川崎汽船、商船三井、日本郵船、日本シップヤード、MILESの6社が、日本の船級協会である日本海事協会から基本設計承認(AiP)を取得した。対象は4万2000m³級の船型で、承認の範囲は基本設計の技術要件と関連する安全基準への適合である。審査には、日本海事協会の鋼船規則のうち液化ガスばら積船を対象とするPart Nが適用された。
取扱作業の危険要因をHAZIDで評価
承認に向けたリスク評価では、この船型で行う液化CO₂の取扱作業を対象にHAZIDを実施した。HAZIDは、設計概念に潜む危険要因を特定する安全評価手法である。危険要因の特定に続き、リスクの程度と、それを低減する措置の有効性を評価する。
低圧ガス船の運航経験を設計方針へつなぐ
低圧液化CO₂に固有のリスクを検討するため、評価には川崎汽船、商船三井、日本郵船が持つ低圧ガス輸送船の運航経験を活用した。6社は、その評価結果に基づいて安全を重視する設計方針を確立したとしている。取扱作業の評価を設計方針へつなげたことが、今回のAiP取得に至る経路となった。
標準設計の枠組みで初の承認を得る
6社は2025年12月に公表した覚書に基づき、液化CO₂輸送船などを設計する合弁会社MILESを活用して、液化CO₂輸送船と代替燃料船の標準設計の枠組みを進めている。今回の取得は、この枠組みと4万2000m³級の船型にとって初のAiPとなった。
確立した安全重視の設計方針は、液化CO₂輸送船の標準設計へ反映する予定だ。6社は、標準船の共通設計基盤によって設計・建造の作業量を減らし、効率を高めることで、建造能力の強化につなげることを期待している。