4K・3D映像と、蛍光や狭帯域光による観察を一つのプラットフォームで扱う外科手術用内視鏡システム「VISERA ELITE III」が開発された。カメラヘッドの焦点制御からモニターの表示処理までを備え、従来の内視鏡機器との互換性も持つ。
蛍光と狭帯域光で異なる特徴を捉える
ソニー、医療機器メーカーのオリンパス、両者の医療事業合弁会社ソニー・オリンパスメディカルソリューションズが共同開発したVISERA ELITE IIIは、4K、3D、IR、NBI観察に対応する。腹部や胸部などに開けた数カ所の穴から内視鏡と専用器具を挿入し、病変部の摘出などを行う内視鏡外科手術で使うシステムだ。
IRは、投与した蛍光剤インドシアニングリーン(ICG)に700〜780 nmの近赤外光を当て、生じた蛍光を観察する機能である。狭帯域光観察のNBIは、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい2つの狭帯域の光を照射する。組織を強調表示することで、粘膜表面の微細な血管や模様を観察しやすくする。
動きに追従する焦点制御と広い合焦領域
撮像を担う4KカメラヘッドCH-S700-XZ-EAには、ソニー製4Kイメージセンサーと小型化技術が組み込まれている。焦点制御にはC-AFを採用し、スコープの動きに合わせて自動的にピントを合わせ続ける。
さらに、被写界深度を拡大するEDOFによって、従来より広い領域にピントが合う。動きへの追従と合焦領域の拡大を同じカメラヘッドに備えた構成だ。オリンパスは、このカメラヘッドで従来品の観察性能を維持したまま軽量化を実現したとしている。
モニター側で色と暗部の表示を補う
内視鏡から受け取った映像の表示を担うのは、ソニーが開発した3D対応4K液晶モニターLMD-XH320STとLMD-XH550STだ。ソニーによると、画像強調機能A.I.M.E.が映像の色とコントラストを強調し、暗部の視認性も向上させる。
表示処理は、内視鏡システムとの連携にも対応する。ソニーは、この連携によってHDR映像の明部と暗部の再現性を向上させたとしている。
既存機器を接続し、ソフトウェアで機能を追加
VISERA ELITE IIIは、従来のオリンパス製硬性鏡、軟性鏡、カメラヘッドとの互換性を備える。この互換性は、一般外科、泌尿器科、婦人科、耳鼻咽喉科など、幅広い診療科で機器を共有できるようにするための構成である。
機能の拡張には、ソフトウェアアップグレードによるオプション追加を用いる。オリンパスは、欧州、中東、アフリカ、アジア一部地域、オセアニア、日本で2022年9月以降順次発売する。