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胚の体節形成を刻む遺伝子が細胞接着を介して成熟を制御

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    マウス幹細胞由来の組織モデルで、体節形成の周期を担う遺伝子Hes7の働きを操作し、影響を観察できるようになった。

  2. 実現の仕組み

    Hes7の標的である遺伝子Cdh2は、細胞同士をつなぐ接着タンパク質をコードする。

  3. 得られた結果

    組織モデルの実験で、Hes7によるCdh2の制御が、細胞の成熟時期を決めるFGFシグナルに直接影響した。

  4. 従来との違い

    Hes7の発現を乱すと細胞間の接着が不規則になり、形成中の体節の構造が損なわれた。

培養皿の中で観察されるマウス幹細胞由来の体節前駆組織モデル。細胞境界が見える紫色の分節が連なり、一端では接着境界が不規則になっている。
AI生成画像

胚の体節形成を刻む遺伝子Hes7が、細胞接着に関わる遺伝子Cdh2を通じて、細胞の成熟時期を制御するFGFシグナルに影響することが分かった。マウス幹細胞由来の組織モデルで、遺伝子発現の周期と組織形成を結ぶ仕組みを確かめた。

体節を生む遺伝子活動の周期を追う

胚の発生初期にできる体節は、背骨、肋骨、筋肉のもとになる。この体節が形成される過程を駆動するのは、遺伝子群の周期的な活動だ。

分節時計と呼ばれるこの遺伝子活動の変動は胚内で速く進むため、体節ができる過程を可視化しながら操作することが難しかった。

幹細胞由来の組織で発現を操作する

理化学研究所の影山龍一郎らは、マウス幹細胞から、体節になる前の組織を模した誘導前体節中胚葉(iPSM)を作製した。この組織モデルは生体内の分節時計の主要な特徴を保ち、周期を担う遺伝子Hes7が体節形成をどう駆動するかを調べる実験に使われた。

実験では、組織モデルの遺伝子発現を操作し、生きた細胞を顕微鏡で観察して、その影響を可視化した。

細胞接着の制御が成熟のシグナルにつながる

Hes7は下流の遺伝子の発現を抑え、その標的の一つがCdh2だ。この遺伝子は細胞同士をつなぐ接着タンパク質をコードし、胚組織のパターン形成と分節に関わる。

組織モデルを用いた実験では、Hes7によるCdh2の制御がFGFシグナル伝達経路に直接影響することが確認された。この経路は、体節の分節における細胞の成熟時期を制御する。

発現の乱れが体節の構造を損なう

Hes7の発現を乱すと、接着に関わるCdh2の活動に異常が生じた。その異常によって、細胞間の接着は不規則になった。

接着の乱れは、形成中の体節の構造を損なう結果につながった。