約−240℃の水素ガスを直接吸入・圧縮する機器が、建設中の液化水素基地「川崎LH₂ターミナル」向けに採用された。真空断熱と3室の隔離構造を備え、貯蔵中に発生する気化ガスの処理を担う。
貯蔵中に発生するガスを圧縮して供給へつなぐ
液化水素の貯蔵中に発生する気化ガスは、ボイルオフガス(BOG)と呼ばれる。IHIによると、IHI回転機械エンジニアリングが手掛ける液化水素用のLH₂ BOG圧縮機は、このガスをタンクから直接吸入・圧縮し、タンク内の圧力を適正に維持する。圧縮したガスは、パイプラインを通じた需要家への供給を支える。
真空断熱で約−240℃のガスを直接吸入する
極低温のガスを受け入れるシリンダには、真空断熱構造の真空ジャケットを採用している。IHIは、この構造が周囲からの熱の侵入を抑え、外表面での空気の液化を防ぐことで、約−240℃の水素ガスを直接吸入できるとしている。
3室構造で水素と潤滑油の系統を隔離する
圧縮機の中間筒は3室構造とし、水素ガス系統と潤滑油系統を段階的に隔離する。水素ガスの漏えいや潤滑油への混入を防ぐための構成である。ガスに接する主要部材には極低温水素に対応する材料を採用し、この環境での耐久性と信頼性を確保する設計としている。
LNG向けの知見と試作成果を基地向け機器へ
IHI回転機械エンジニアリングは、液化天然ガス(LNG)の受入基地向けBOG圧縮機で培った知見に、自社開発のプロトタイプ機で得た成果を加え、極低温水素を直接吸入・圧縮する技術を開発してきた。この圧縮機は、川崎重工業が神奈川県川崎市扇島で建設を進める液化水素基地「川崎LH₂ターミナル」向けに採用された。