Technology

三菱重工系の水素発電機、実用化に向けた信頼性検証を完了

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    100%水素で動く500kW級エンジン発電装置が、商用製品に近い試作機で急な電力需要変動への対応を実証した。

  2. 実現の仕組み

    6気筒エンジンで希薄燃焼と火花点火を用い、出力軸に取り付けた発電機で電力を生み出す。

  3. 得られた結果

    三菱重工エンジン&ターボチャージャは、エンジン振動や燃焼室温度などの測定で信頼性に問題がないことを確認した。

  4. 従来との違い

    定格運転を達成していた水素発電装置で、長期耐久評価を除く実用化に向けた評価が完了した。

100%水素を使う500kW級エンジン発電装置で、異常燃焼への運用対策と信頼性検証が完了した。三菱重工エンジン&ターボチャージャは、長期耐久評価を除く評価を終え、商用化に適した技術成熟度に達したとしている。

6気筒エンジンと発電機で435kWの定格運転

三菱重工グループのエンジンメーカー、三菱重工エンジン&ターボチャージャが開発する500kW級水素エンジン発電装置は、100%水素を燃料に使う。実証設備では既に、発電出力435kW、回転速度毎分1,500回の定格運転を達成していた。

試作機は6気筒で、開放燃焼室型の希薄燃焼と火花点火を採用する。エンジンの出力軸に取り付けた発電機に加え、燃料ガスや冷却水などの配管、発電機制御盤といった補機、それらを収容・保護する筐体を備える。

着火しやすい水素に合わせて異常燃焼への対策を確立

燃料となる水素は天然ガスより燃えやすく、静電気に相当する小さなエネルギーでも着火し、燃焼可能な範囲も広い。三菱重工エンジン&ターボチャージャは、こうした特性が課題となる異常燃焼に対し、100%水素での実証運転を通じて運用対策を確立した。

燃焼への対策に加え、水素エンジン発電装置には漏えいへの安全対策も必要になる。多重の漏えい防止、漏えいを検知した際の安全な停止、漏れたガスが上部に滞留することを防ぐ対策が求められる。

100時間超の運転で需要変動と信頼性を検証

相模原工場の実証試験では、100時間を超える運転を実施した。年間を通じて運転し、さまざまな大気条件の下で電気出力、発電効率、排出性能を評価した。

三菱重工エンジン&ターボチャージャの検証では、商用製品に近い試作発電装置が、実際の運転で起こり得る急な電力需要変動に対応できることを確認した。エンジン振動や燃焼室温度なども測定し、信頼性に問題がないことを確認したとしている。

燃料受け入れから発電まで確認し、商用化へ試験を継続

実証では、山梨県で製造したグリーン水素を相模原工場で受け入れ、発電に使用するまでの工程も確認した。三菱重工エンジン&ターボチャージャは、一連の試験で長期耐久評価を除く評価が完了し、発電装置が商用化に適した技術成熟度に達したとしている。

長期耐久評価は、水素供給の制約により実施が難しい状態にある。三菱重工エンジン&ターボチャージャは、全面的な商用化に向け、運転時間の積み増しと試験を続ける計画だ。