プレート間の微細フィンへ冷媒を均一に行き渡らせる分配流路が、ヒートポンプ向け熱交換器の伝熱性能を高めた。三菱電機によると、溝付き従来品の約3倍の伝熱性能によりプレートの積層数を減らし、冷媒充填量を約3分の1に削減した。
微細フィンだけでは二相冷媒が偏る
三菱電機が開発したのは、ヒートポンプ式冷暖房機器向けのプレート熱交換器だ。伝熱を促す構造として、平板の間にマイクロオフセットフィンを挿入する方式を検討した。
マイクロオフセットフィンは、微細なフィンをずらして並べ、乱流と伝熱を促す構造である。ただし、三菱電機の試験では、気体と液体が混在する二相冷媒がプレート全体へ均一に分布しなかった。
入口と出口の分配流路で冷媒を均一化
この流れの偏りに対し、新しい熱交換器は流体の入口と出口に分配流路を設けた。三菱電機によると、微細フィンを備えたプレートでも、気液二相の冷媒を均一に分布させることができる。
分配流路の配置には、微細フィン間を進む二相冷媒の複雑な流れを模擬する独自の解析技術を用いた。その解析によって流路の配置を最適化した。
伝熱性能の向上で積層数と冷媒量を削減
三菱電機によると、この構成による伝熱性能は、従来の溝付きプレート熱交換器の約3倍に達した。比較対象は三菱電機の従来品であり、伝熱性能の向上によって新しい熱交換器のプレート積層数を減らした。
積層数の削減は、熱交換器に充填する冷媒量の低減につながった。三菱電機は、冷媒充填量を従来の約3分の1に削減したとしている。
冷媒量の低減を車載・空調機器へ
冷媒量の低減は、可燃性を持つ冷媒を使う機器の安全性にも関わる。R32などの次世代冷媒には地球温暖化係数が低い一方で可燃性を持つものが多く、三菱電機は漏えい時の危険を減らすために使用量を抑える必要があると説明している。
適用先として、水を用いる冷暖房機器、電気自動車向けヒートポンプ、空冷式エアコンを挙げている。三菱電機は、この技術を幅広い製品群に組み込む計画だ。