駅へ余剰回生電力を供給するインバーターに、き電電圧と稼働データを遠隔から連続収集する機能が加わった。新モデルS-EIV-Xは、現地での手動操作を必要としていたデータ収集を変え、電力利用の最適化に使う情報を継続して取得する。
駅へ送れる回生電力は運行状況と空調負荷で変動する
三菱電機が発売した駅用省エネインバーターS-EIV-Xは、列車のブレーキ時に生じる回生電力のうち、近くの走行列車だけでは消費できない分を駅の電気設備へ供給する。余った電力を駅側で利用する装置だが、利用できる量は一定ではない。
その量は、列車の運行状況によるき電電圧、つまり列車へ供給する電圧の変動や、車内外の温度差による空調負荷の変化に応じて変わる。三菱電機は、利用を最大化するには、装置が吸収した余剰回生電力とき電電圧の変動を継続監視し、電圧を最適に保つ必要があるとしている。
監視盤の手動操作から専用ネットワークでの連続収集へ
従来のデータ収集では、担当者が変電所や駅の電気室へ出向き、S-EIVの監視盤を手動で操作する必要があった。新モデルは専用ネットワークを使い、き電電圧と装置の稼働データを遠隔から連続収集する機能を備える。
遠隔確認の対象には、装置本体に異常が生じた際の稼働ログも含まれる。電力利用の監視に加え、異常時の装置の動作を確認するためにも遠隔機能を使うことができる。
フルSiCの採用で電力変換部の部品を減らす
データ収集機能の追加とともに、電力変換部の構成も変わった。S-EIV-Xは、高耐圧のフルSiC、すなわち炭化ケイ素のパワーデバイスを採用し、構成部品を減らしている。
三菱電機は、この部品点数削減によって装置を小型・軽量化したとしている。構成の簡素化は、信頼性と保守性の改善にもつながったという。
収集データとシミュレーションを電圧の最適化支援に使う
継続して取得するデータには、鉄道全体の省エネ支援へ利用する計画もある。三菱電機は、装置の収集データを列車・変電所のシミュレーションデータとデジタル基盤Serendie上で組み合わせ、鉄道エネルギー管理ソリューションで分析する。
この分析によって支援する対象は、き電電圧の傾向把握や変電所の出力電圧の最適化である。遠隔収集は新モデルに備わる機能であり、取得した情報を使った省エネ施策の支援は三菱電機が進める計画として位置付けられている。