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100V窒化ガリウムトランジスタ、シリコン互換の実装に対応

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    100VのGaN電源トランジスタと評価ボードの提供が始まり、既存のシリコンMOSFETレイアウトからの移行を評価できるようになった。

  2. 実現の仕組み

    低いゲート電荷と出力電荷でスイッチング時の電圧と電流の重なりを抑え、逆回復電荷ゼロで逆回復に伴う損失をなくす。

  3. 得られた結果

    ルネサスによると、同等のGaNデバイスに比べて性能指標FOMがハードスイッチングで最大35%、ソフトスイッチングで最大63%低い。

  4. 従来との違い

    ルネサスのGaN製品群に、初めて低電圧用途向けの100Vトランジスタ4製品が加わった。

明るい作業台に置かれた電源評価基板。銅色の配線パターンと受動部品に囲まれた汎用トランジスタが、MOSFET互換の基板レイアウトに実装されている。
AI生成画像

100Vの窒化ガリウム(GaN)電源トランジスタに、シリコンMOSFET互換の実装形態と低損失のスイッチング特性を組み合わせた製品群が加わった。低い電荷量と逆回復電荷ゼロを生かし、既存の基板レイアウトから高周波電源への移行を支える。

電荷量を抑えて切り替え時の損失を減らす

ルネサス エレクトロニクスが投入した初の低電圧GaN製品群は、100Vのディスクリート電源トランジスタ4製品で構成する。E-modeと呼ぶノーマリーオフ方式を採用している。

ルネサスによると、低い総ゲート電荷と出力電荷が、スイッチング時に電圧と電流が重なる部分を抑え、変換周期ごとのエネルギー損失を減らす。逆回復電荷もゼロであり、逆回復に伴う損失をなくすとしている。

GaN同士の比較でスイッチング性能指標を低減

ルネサスによると、新製品群のスイッチング性能を表す指標FOMは、同等のGaNデバイスに比べてハードスイッチングで最大35%、ソフトスイッチングで最大63%低い。この数値はスイッチング性能指標の比較であり、電源全体の消費電力の削減率を示すものではない。

高速な切り替えは、電源の動作周波数を高めるためにも使う。ルネサスは、高周波動作によって磁性部品や受動部品を小型化できるとしており、トランジスタのスイッチング特性を電源構成の小型化へつなげる。

既存の実装形態に抵抗値と冷却方式の選択肢を組み合わせる

新製品群は、標準的なMOSFETと互換性のある複数のパッケージで提供する。ルネサスは、大幅な基板改修を伴わずに既存のシリコンMOSFETレイアウトから移行できるとしており、電源素子の変更に必要な実装上の手直しを抑える。

オン抵抗は1.2~5mΩの範囲から選択できる。冷却構成にも下面冷却と両面冷却があり、電力段の抵抗値と放熱経路を設計に合わせて選ぶことができる。

評価ボードと800Vから48Vへの電源設計を用意

新製品群は対応する評価ボードとともに提供が始まっている。基板上で製品を評価するための手段が、トランジスタの供給と併せて用意された。

ルネサスは、6kWの800Vから48VへのDCX LLC電源リファレンス設計や、産業用DCサーボのプラットフォームへ新製品群を組み込めるとしている。100V素子の用途は、こうした電圧変換システムやモーター駆動系の電力段へ広がる。