Semiconductor

運転支援と車内表示を同時処理する3nm車載SoC、実機評価へ

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    運転支援、車内情報・娯楽、ゲートウェイを同時処理する車載SoC「R-Car X5H」を、一部の顧客とパートナーが実機で評価できるようになった。

  2. 実現の仕組み

    開発キットはLinux、Android、仮想化を担うXENハイパーバイザーを基盤に、複数の車載機能を開発する環境を提供する。

  3. 得られた結果

    ルネサスエレクトロニクスが示すAI演算性能は、R-Car X5H単体で最大400 TOPSに達する。

  4. 従来との違い

    年内に始まった実機サンプル供給に、評価ボードと開発キットの提供が加わった。

車内の運転支援・娯楽表示とカメラセンサーに囲まれた作業台で、無地のチップを載せた車載評価ボードを示す編集イラスト。
AI生成画像

運転支援と車内情報・娯楽、ゲートウェイの機能を一つのチップで同時処理する3nm車載SoC「R-Car X5H」に、評価ボードと開発キットが用意された。実機サンプルと併せた提供により、一部の顧客とパートナー向けにハードウェアとソフトウェアを組み合わせた評価環境が整った。

複数の車載機能を一つの3nmチップへ

ルネサスエレクトロニクスによると、車載SoCのR-Car X5Hは、運転支援、車内情報・娯楽、ゲートウェイの機能を同時に実行できる。3nmプロセスで製造されるチップに、これらの異なる車載領域を担う演算機能を集約する。

実機サンプルは2025年中に顧客への提供が始まっており、12月16日時点では評価ボードとソフトウェア開発キット「RoX Whitebox SDK」も提供されている。提供対象は一部の顧客とパートナーで、チップだけでなく、その上で車載ソフトウェアを開発する環境も利用できる段階に進んだ。

最大400 TOPSのAI演算とチップレット拡張

複数の車載機能を受け持つ演算構成には、32個のArm Cortex-A720AE CPUコアと、ASIL Dをサポートする6個のCortex-R52ロックステップコアを備える。AI演算については、ルネサスエレクトロニクスが最大400 TOPSという性能を示している。

AIの演算規模は、追加の半導体を組み合わせるチップレット拡張にも対応する。ルネサスエレクトロニクスは、この拡張によってAIアクセラレーションを4倍以上に増強できるとしており、単体の演算性能と拡張時の能力を分けて示している。

認識と車内対話を開発キットに統合

演算ハードウェア上の開発環境となるRoX Whitebox SDKは、Linux、Android、仮想化を担うXENハイパーバイザーを基盤とする。ルネサスエレクトロニクスによると、統合されたAI・運転支援ソフトウェアは、リアルタイムの認識と複数センサーの情報を組み合わせるセンサーフュージョンに対応する。

車内の対話機能には、生成AIと大規模言語モデルを利用する。開発キットにはこれらの機能に加え、ルネサスエレクトロニクスが量産向けとするパートナーのアプリケーションソフトウェア群も統合されている。

カメラ8台と複数画面を扱う統合デモへ

この開発環境を使うCES 2026向けの統合デモは、LinuxとAndroid上でXENによる仮想化を用い、運転支援と車内情報・娯楽のソフトウェア、リアルタイムOS、エッジAIの機能を組み合わせる。ルネサスエレクトロニクスによると、デモのプラットフォームは高解像度カメラ8台からの入力に対応する。

表示側は最大8台のディスプレイに対応し、解像度は最大8K2Kに達する。ルネサスエレクトロニクスは、この複数領域を統合したデモをCES 2026で招待制により披露する予定だ。