バイオマス原料を出発点に、複数の樹脂を高機能製品へつなぐ供給網が構築された。原料の投入量に応じて製品に特性を割り当てるマスバランス方式を使い、ソニーは従来と同等の品質を維持した樹脂の製造が可能になったとしている。
難燃性や光学特性が必要な部品へ別の原料経路をつくる
ソニー、三菱商事など14社は、5つの国・地域にまたがるリニューアブルプラスチックの供給網を共同構築した。対象はオーディオ・ビジュアル製品などに使用可能な樹脂で、原材料から製品までの流れを可視化している。
ソニーは、高機能製品では使うプラスチックの種類が多く、供給網全体の把握と一元管理が難しかったと説明する。高い難燃性や光学特性が必要な部品では、使用済みプラスチックを物理的に処理して再利用するマテリアルリサイクルだけで、材料を全面的に置き換えることも難しい。このため、新しい供給網は複数種類のプラスチックにバイオマス原料を導入する経路として構築された。
混合した原料の投入量からバイオマス特性を割り当てる
バイオマス原料を導入する際には、流通や加工の工程で他の原料と混ざる場合がある。マスバランス方式は、特性を持つ原料の投入量に応じて、製品の一部にその特性を割り当てる手法だ。完成品の材料すべてがバイオマス由来であるという意味ではなく、原料投入量と製品への特性の割り当てを対応させる。
原料供給を担うNeste Corporationは、廃食用油などの再生可能原料から製造したリニューアブルナフサを供給する。ソニーは、この原料を出発点とする供給網とマスバランス方式によって、従来と同等の品質を維持したリニューアブルプラスチックを製造できるようになったとしている。
ポリスチレン、PET、ポリカーボネートの製造を分担する
樹脂をつくる工程は、原料や中間体の製造ごとに分担する。化学メーカーの出光興産がリニューアブルスチレンモノマーを、Formosa Chemicals & Fibre Corporationがリニューアブルポリスチレン樹脂を製造する。PETの製造に関わる経路では、SK Geo CentricとENEOSがパラキシレンを、Hanwha Impactがテレフタル酸を、Toray Advanced Materials KoreaがPET樹脂と原反をそれぞれ製造する。
ポリカーボネートに関わる材料では、化学メーカーの三井化学がバイオマス特性を割り当てたビスフェノールAを、CHIMEI Corporationが同じく特性を割り当てたポリカーボネート樹脂を製造する。樹脂材料メーカーのQingdao Haier New Material Developmentは、バイオマス特性を割り当てた難燃剤を再生ポリカABSにブレンドする。再生樹脂と、特性を割り当てた添加剤を組み合わせる材料も供給網に含まれている。
供給網の管理を排出量把握と製品採用につなぐ
三菱商事は、供給網の可視化と構築に加え、クレジットのデリバリー管理までの全体統括を担う。ソニーは、供給網を可視化したことで、参加各社が検証可能な方法で温室効果ガス排出量を把握できるようになったとしている。
製造する各種プラスチック素材の採用先は、ソニーが今後グローバル展開する製品を予定している。供給網の共同構築は完了しており、製品への採用はこれから進める段階にある。