量子誤り訂正に使う接続を、量子ビットごとに4本から3本へ絞った動的回路が実証された。Googleの実験では、誤り検出領域の配置を周期的に切り替えることで、同じハードウェア上の従来の静的回路に匹敵する誤り訂正性能を得た。
誤りが起きた場所と時間を、動く検出領域で絞る
量子誤り訂正は、複数の物理量子ビットを組み合わせ、ノイズに強い論理量子ビットを構成する。誤りを検出する測定は、複数の量子ビットと複数の訂正サイクルにまたがる「誤り検出領域」を持ち、誤りが起きた可能性のある場所と時間を示す。
Googleが実証した動的な表面符号の回路は、異なる回路構成を交互に使う。これに伴い、サイクル終了時の検出領域の配置も2種類の間で切り替わり、重なり合う領域を使って誤りを絞り込む。
1本の結合器を再利用し、3本の接続で訂正する
超伝導量子プロセッサーのWillowは、各物理量子ビットを隣接する4個の量子ビットへつなぐ正方格子を採用している。六角格子向けの動的回路は、量子ビットごとに3本の結合器を使う2種類の訂正サイクルを持ち、どちらでも1本の結合器をサイクル内で2回使う。
この再利用によって、3本の接続で誤り検出領域を構成する。実験ではWillowの使用しない結合器を無効にし、正方格子の実機上で六角格子の接続条件を再現した。
符号距離3から5で論理誤り率が2.15分の1に
Googleの測定では、接続を3本に絞った回路の符号距離を3から5へ増やすと、論理誤り率が2.15分の1になった。この誤り訂正性能は、同じハードウェアで動作する従来の静的回路に匹敵した。
接続構成の違いは、量子ビットとゲートの周波数を選ぶ最適化にも影響する。Googleのシミュレーションでは、六角格子によって最適化が簡素化され、誤り抑制係数が正方格子より15%改善した。この15%は、接続を無効にした実機での測定とは別のシミュレーション結果である。
量子ビットの役割交換で、漏れのリセットを全体へ広げる
動的回路は、量子ビットの役割を切り替える用途にも使われた。超伝導量子ビットが計算に使わない高エネルギー状態へ移る「漏れ」は、相関した誤りを引き起こすことがある。従来のデータ量子ビット向け漏れ除去手法DQLRは、その対策として回路に追加のゲートを導入する。
役割を周期的に交換するwalking回路では、データ量子ビットが測定量子ビットの役割も担うため、測定用の漏れリセットを全量子ビットへ適用できる。訂正サイクルへのゲート追加は必要ない。Googleの測定では、標準回路で最大40サイクルにわたって残る検出器間の時間相関が1桁超低減し、DQLRを使う標準的な表面符号と同程度の抑制を示した。