ハーフホイスラー型の(Ti,Hf)NiSn熱電材料で、原子の局所的な規則配列が自発的に形成され、材料の安定性を高めることが分かった。チタンとハフニウムの混在に伴う格子の歪みと、欠陥・電子状態の変化が高性能化につながる仕組みも解明された。
放射光測定と計算で構造と電子状態を結ぶ
名古屋工業大学の宮崎秀俊准教授と産業技術総合研究所の三上祐史主任研究員らは、熱電材料のハーフホイスラー型(Ti,Hf)NiSnについて、高性能化の仕組みを構造と電子状態の両面から解明した。大型放射光施設SPring-8を利用した放射光X線回折と硬X線光電子分光に、第一原理計算を組み合わせた。
この材料の準安定固溶体が形成される過程は、従来、主に急速焼結によって相分離を抑える非平衡プロセスとして説明されてきた。今回の解析では、その固溶体を構成する原子の局所的な並び方が、安定性を高める仕組みまで明らかになった。
局所的な規則配列が固溶体のエネルギーを下げる
原子は完全にランダムに並んでいるわけではなく、短距離秩序と呼ばれる局所的な規則配列を自発的に形成していた。この配列では、ランダムな原子配列に比べてエネルギーが低下し、準安定固溶体の安定性が高まる。
チタンとハフニウムの混在が熱伝導を抑える
原子の配置は、材料の安定性に加えて熱伝導にも関わる。チタン(Ti)とハフニウム(Hf)が混在すると局所的に格子が歪み、その歪みが熱伝導を抑えることが示された。
欠陥と電子状態の変化が発電特性を高める
ハフニウムによる置換では、ニッケル(Ni)の格子間欠陥が減少した。この欠陥の減少と電子状態の変化が、発電特性の向上につながることも示された。
発電特性を高める効果は、格子の歪みによる熱伝導の抑制と協調して働く。こうした構造と電子状態の両面の効果によって、対象の材料に高い熱電変換性能が現れることが分かった。