排ガス中の窒素酸化物を触媒に捕捉し、水素でアンモニアへ変換する反応が、実験室の小型装置からベンチスケールへ拡大された。模擬排ガスを用いたペレット触媒の試験では、ガス流量を下げて接触時間を長くすると、アンモニア化率が約90%に達した。
希薄な窒素酸化物の資源化を100倍の反応管へ
産業活動由来の排ガスに含まれる窒素酸化物は、濃度が0.1%以下と低い。主流の処理ではアンモニアや尿素などを還元剤に使い、窒素酸化物を窒素へ戻して無害化する。
産業技術総合研究所(産総研)は、この窒素酸化物を捕捉してアンモニアへ変換する「吸蔵NTA反応」を、燃焼排ガスを想定したガスで実証した。反応管の容積は実験室の約1 cm³から100 cm³へ約100倍に拡大し、ベンチスケールでガスを切り替えながらアンモニアを生成した。
白金で酸化し、酸化バリウムに捕捉する
窒素酸化物の捕捉に使うナノ複合触媒材料は、細孔を持つメソポーラスアルミナに白金と酸化バリウムを組み合わせたものだ。吸蔵工程で一酸化窒素と酸素を含むガスを導入すると、一酸化窒素が白金触媒上で二酸化窒素へ酸化される。この二酸化窒素が酸化バリウム種と化学反応し、触媒材料に捕捉される。
捕捉した窒素酸化物は、導入ガスを水素を含む還元ガスへ切り替えてアンモニアに変える。白金触媒上で解離した水素種が、吸蔵された窒素酸化物を水素化することでアンモニアが生成する。
ハニカム部材8本でガス切り替え反応を確認
この触媒材料を大型の反応管へ収めるため、外径16 mm、長さ62.5 mmのハニカム基材を設計した。基材に触媒材料を含むスラリーを塗布し、内径16 mmの反応管へモジュール式に充填した。
試験には、ごみ焼却場の排ガスを想定した200 ppmの一酸化窒素と、各10%の酸素、二酸化炭素、水蒸気を含む模擬ガスを使った。これを5%の水素を含む還元ガスと交互に導入した。産総研の測定では、ハニカム触媒8本、触媒量1.6 g、反応温度250℃、ガス流量毎分8.8 Lの条件で、アンモニア化率は約20%だった。
ペレット触媒は流量を下げると約90%をアンモニア化
産総研は量産化や部材化を想定し、独自のナノ複合触媒材料と同等の性能を示すアルミナ系ペレット触媒の開発も進めている。このペレット触媒を44 g充填したベンチスケール試験では、反応温度250℃、反応時間60分、ガス流量毎分44 Lの条件で、アンモニア化率が約60%となった。
この試験からガス流量を毎分8.8 Lへ下げると、窒素酸化物と触媒の接触時間が長くなる。ペレット触媒44 gを使った試験では、この流量でアンモニア化率が約90%に達した。