GaNを使うAC/DC電源のHWLLC構成が、100W級から500Wへ対応範囲を広げた。力率補正と共振電力変換を統合する制御ICを中心に、USB給電、GaN駆動、同期整流を組み合わせる。240WのUSB電源アダプター設計では、ルネサスがピーク効率96.5%を達成したとしている。
力率補正と共振電力変換を一つのICで制御
半導体メーカーのルネサス エレクトロニクスは、GaNを使うHalf-Wave LLC(HWLLC)方式の電源構成を、100W級の設計から500Wへ拡張した。産業機器やIoT機器、インフラ設備に向け、500W以上の動作に対応するとしている。
構成の中心となる制御IC「RRW11011」は、インターリーブ方式の力率補正(PFC)とHWLLCによる共振電力変換を一つに統合する。ルネサスによると、PFCの位相シフト制御がリップルを打ち消し、部品の小型化と電流の均等化に寄与する。
5~48Vの出力と最大240WのUSB給電を制御
統合制御ICは5~48Vの出力範囲に対応する。ルネサスは、このICを含め、独自のzero-standby power(ZSP)技術を基にした4種の制御ICを電源製品群へ追加した。
USB給電側は、プロトコルと閉ループ制御を担うIC「RRW30120」が受け持つ。このICの最大USB給電電力は240Wで、電源構成全体の500W以上という対応電力とは対象が異なる。
GaNの駆動と同期整流を専用ICが担う
電力変換を支える駆動回路には、ハーフブリッジ用のGaNゲートドライバー「RRW40120」を使う。同期整流は制御IC「RRW43110」が担い、電力変換とUSB給電の制御にこれらの機能を組み合わせる。
ルネサスは、次世代AC/DC電源に使うGaNのスイッチング性能が、磁性部品の小型化と損失低減に寄与すると説明している。4種のICを組み合わせた240WのUSB Extended Power Range(USB EPR)電源アダプター設計では、電力密度3W/ccとピーク効率96.5%を達成したとしている。
240W電源の評価ボードまで提供
4種の新しいICに加え、評価ボードも3月23日の発表時点で提供されている。部品単体と、電源として組み合わせた評価環境の両方が用意された。
評価ボード「EBC10293」は、240WのUSB PD EPR電源を対象とする。PFC、AC/DC変換、USB PD制御を一つのボードへ統合している。