Semiconductor

Linuxを保持したまま1mW級で待機する組み込みMPU

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    ピン互換の組み込みMPUを使い、表示要件が異なる製品間でプリント基板設計を再利用できる。

  2. 実現の仕組み

    Linuxシステムをメモリーに保持して待機し、必要に応じて迅速に動作へ復帰する。

  3. 得られた結果

    ルネサスは、独自の電源管理によりディープスタンバイ時の消費電力を1mW級に抑えられるとしている。

  4. 従来との違い

    RZ/Gシリーズに64ビットMPUのRZ/G3LとRZ/G3SEが加わり、両製品の供給が始まった。

産業用ゲートウェイの筐体に収まる組み込み制御基板の編集イラスト。待機中もメモリーを保つMPUと、基板を共用できるピン互換のチップ候補を描いている。
AI生成画像

組み込みMPUのRZ/G3LとRZ/G3SEは、Linuxシステムをメモリーに保持した待機と迅速な復帰に対応する。ルネサス エレクトロニクスによると、独自の電源管理でディープスタンバイ時の消費電力を1mW級に抑えられる。

Linuxをメモリーに残す低消費電力の待機

ルネサス エレクトロニクスの新MPUは、独自の電源管理アーキテクチャーを採用する。ルネサスは、この構成によってディープスタンバイ時の消費電力を1mW級に抑え、Linuxシステムをメモリーに保持したまま待機できるとしている。必要になれば迅速に動作へ復帰できるという。

動作時の処理を担うCPUには、最大1.2GHzのCortex-A55を最大4コア搭載する。これに200MHzのCortex-M33コプロセッサーを組み合わせる。

表示機能を選びながら基板設計を共通化

表示側では、RZ/G3Lが3D描画用GPUとH.264動画コーデックを搭載する。もう一方のRZ/G3SEは、EV充電器や産業用ゲートウェイの状態表示、設定画面といった基本的な表示機能を必要とするIoT機器向けに設計されている。

この表示要件の異なる2製品は、端子配置に互換性を持つ。ルネサスによると、ピン互換性によって複数の製品バリエーションへ共通のプリント基板設計を再利用できる。

PCIeで通信モジュールやAI処理を追加

両MPUの外部接続には、PCIe、TSN対応のGigabit Ethernet、USBを用意する。ルネサスは、これらのインターフェースを使って用途に応じた機能や接続手段を追加できるとしている。

PCIeの接続対象には、5G通信モジュールとWi-Fi 6モジュールが含まれる。外付けAIアクセラレーターにも対応し、通信機能とAI処理の拡張に同じ接続インターフェースを利用できる。

製品供給と評価用の基板・Linux環境

ルネサスは、64ビット汎用MPUの両製品をRZ/Gシリーズに追加し、9月10日に供給を開始した。両製品向けの評価ボードキットも供給されており、SMARC v2.1モジュール基板とキャリア基板で構成する。

ソフトウェアには、Linux向けパッケージのVerified Linux Package(VLP)を用意する。このパッケージは、長期サポートのためのCivil Infrastructure Platform(CIP)に準拠する。