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最大9軸のモーター制御と産業用通信を1チップに統合

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    ルネサスの産業用MPU「RZ/T2H」は、最大9軸のサーボモーター制御と産業用Ethernet通信に対応する。

  2. 実現の仕組み

    モーター制御用周辺回路をリアルタイム処理用CPUのLLPPバスに配置し、CPUからの高速アクセスを可能にする。

  3. 得られた結果

    9軸駆動用のインバーター基板、制御ソフトウェア、制御用ツールを組み合わせた評価環境が提供された。

  4. 従来との違い

    ルネサスは、複数のMPUやFPGAとの組み合わせで担っていた対象の産業用制御機能を、単一のMPUに集約したとしている。

明るい工場の評価設備で、1枚の制御基板からケーブルが伸び、横一列の9台のサーボモーターにつながる編集イラスト。
AI生成画像

最大9軸のモーター制御、Linuxアプリケーション、産業用Ethernet通信を一つの半導体で扱う産業用MPU「RZ/T2H」が発売された。アプリケーション処理用とリアルタイム処理用のCPUを搭載し、モーター制御周辺回路と通信機能を同じチップに組み込む。

アプリケーション処理とリアルタイム制御を別のCPUで担う

ルネサス エレクトロニクスが11月26日に発売したRZ/T2Hは、最大1.2 GHzで動作するCortex-A55を4コア搭載する。リアルタイム処理には最大1 GHzのCortex-R52を2コア備え、それぞれに576 KBの密結合メモリーを組み合わせる。

ルネサス エレクトロニクスによると、この構成でLinuxアプリケーション、ロボットの軌道生成、PLCのシーケンス処理を実行できるという。同じチップでモーター制御や産業用Ethernetのプロトコル処理も担い、アプリケーションの計算とリアルタイムの制御を扱う。

9軸分の制御周辺回路へ高速にアクセスする

リアルタイム処理用CPUにつながる周辺回路には、3相PWMタイマー、電流測定用のデルタシグマインターフェース、エンコーダーインターフェースを備える。これらは最大9軸のモーター制御に対応し、駆動用のタイマーと制御に必要な測定信号のインターフェースをチップ内にそろえる。

モーター制御用周辺機能は、Cortex-R52の低遅延周辺ポートであるLLPPのバスに配置され、CPUから高速にアクセスできる。ルネサス エレクトロニクスは、このMPUで産業用ロボットのサーボモーターを最大9軸まで高速・高精度に制御できるとしている。

4つのEthernetポートで産業用ネットワークに対応

モーター制御と同じチップに、4つのEthernetポート、3つのGigabit Ethernet MAC、Ethernetスイッチを搭載する。通信に必要なこれらの機能も、リアルタイム処理用CPUとともにMPUへ組み込まれている。

対応する通信技術にはEtherCAT、PROFINET、Ethernet/IP、OPC UAが含まれる。時間制約のある通信を扱うTSNにも対応し、産業用ネットワークの複数の方式を選択できる。

制御機能の集約を9軸の評価環境につなげる

ルネサス エレクトロニクスは、従来は複数のMPUやFPGAとの組み合わせが必要だった対象の産業用制御機能を、RZ/T2Hでは単一チップに集約できるとしている。この集約により、部品点数とFPGAプログラム開発の時間・費用を減らせるという。

集約した制御機能を評価する環境として、9軸のモーターを駆動するインバーター基板、多軸モーター制御ソフトウェア、制御用ツールのMotion Utility Toolが提供されている。ソフトウェア開発にはRenesas Flexible Software Packageと長期サポート付きLinuxパッケージを用意し、産業用EthernetのサンプルプロトコルとソフトウェアPLCパッケージも提供する。