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40種のにおいを切り替える研究用測定装置を開発

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    複数のにおいの素を、混在させずに均一に提示する制御技術が開発された。

  2. 実現の仕組み

    40機のワイヤ式リニアアクチュエータがカートリッジを切り替え、らせん流路でにおいを鼻先へ届ける。

  3. 得られた結果

    ソニーは、強いにおいの嗅素でもカートリッジの密閉を実現したとしている。

  4. 従来との違い

    ニオイ紙で手動提示する測定に対し、鼻からの距離と提示時間を一定にする機械式の装置が開発された。

研究用のにおい提示装置の内部を描いたイラスト。密閉カートリッジの列から1つをワイヤ式アクチュエータで選び、らせん状の流路を通した空気を鼻先へ送り、別の気流で残留成分を除去する仕組みを示す。
AI生成画像

40種のにおいの素を切り替え、提示後の残留成分を除去する研究用におい提示装置が開発された。NOS-DX1000は、駆動機構と密閉カートリッジ、脱臭機構を組み合わせ、嗅覚測定でのにおいの提示を機械化する。

40機の駆動機構でにおいの流路を開く

ソニーが開発したにおい制御技術Tensor Valveは、嗅素、つまりにおいの素を混在させずに均一に提示するための技術だ。この技術を搭載する研究用におい提示装置NOS-DX1000は、40種の嗅素成分を含むカートリッジを切り替えるため、ワイヤ式リニアアクチュエータを40機備える。

アクチュエータの駆動でバルブが開き、流路を通る空気がにおいを被験者へ届ける。カートリッジ内には気流が巡るらせん流路構造を採用し、嗅素成分を効率よく鼻先へ運ぶ設計とした。

密閉と脱臭で提示前後のにおいを制御

においを届ける流路に加え、カートリッジは使っていない嗅素の漏れを抑える役割を持つ。ソニーは、Tensor Valveを採用した構造などにより、強いにおいの嗅素でもカートリッジの密閉を実現したとしている。

提示後のにおいには、本体に内蔵した脱臭機構が対応し、残る成分を速やかに除去する。ソニーによると、この機構の気流制御でにおい汚染を抑え、別途の脱臭装置や専用の部屋を必要としない運用が可能になるという。

手動の試薬交換をタブレット操作へ

ソニーが比較対象とする一般的な嗅覚測定では、嗅素に浸したニオイ紙を鼻先に近づけ、試薬の濃度とにおいの種類を変えてかぐ動作を繰り返す。開発した装置では、タブレット上でにおいを選択すると、同じ設定条件で提示する。

提示時には鼻からの距離とにおいを届ける時間を一定にし、手でニオイ紙を近づける工程を機械化する。ソニーは、ニオイ紙による一般的な測定に概ね30分以上かかるのに対し、装置では10分程度で測定できるとしている。

測定結果の記録と転送までアプリで扱う

においを提示した結果は、専用アプリケーションに記録し、比較表示・分析することができる。記録した測定データは、Wi-Fi、二次元コード、USBなどで転送でき、提示操作から結果の取り扱いまでを装置とアプリケーションで扱う。

用途は嗅覚に関する研究で、治療や診断などの医療を目的とした機器ではない。ソニーは、この研究用装置を2023年春に発売する予定だ。