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有人宇宙船Crew-12、237日間の研究ミッションを終え帰還

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    Crew-12の乗員は、ISSで幹細胞生産や点滴用輸液の生成など、数百時間の科学研究を実施した。

  2. 実現の仕組み

    点滴用輸液の生成実験は、ISSの飲料水を原料に使い、宇宙で必要な輸液を作る技術を評価する。

  3. 得られた結果

    237日間に地球を3,792周超周回した4人が、太平洋への安全な着水と回収を完了した。

  4. 従来との違い

    3回の船外活動を実施したSophie Adenotが、ISSの外へ出た初のフランス人女性となった。

太平洋に着水したCrew-12の宇宙船と、回収作業にあたる船。遠景には地球と国際宇宙ステーションを描いた水彩風イラスト。
AI生成画像

ISSで幹細胞の増殖や点滴用輸液の生成などに取り組んだCrew-12の4人が、237日間のミッションを終えて帰還した。有人宇宙船Crew Dragon Freedomは10月8日にロサンゼルス沖へ着水し、乗員と機体の回収が完了した。

237日間の軌道上研究から着水・回収へ

NASAによると、有人ミッションCrew-12の4人は、SpaceXの有人宇宙船Crew Dragon Freedomで10月8日午前8時34分(米太平洋夏時間)にロサンゼルス沖の太平洋へ安全に着水した。着水後まもなく、SpaceXの回収船の作業員が機体と乗員を回収した。

237日間のミッションで、乗員は地球を3,792周超周回し、数百時間の科学研究を実施した。研究対象には幹細胞生産、点滴用輸液のオンデマンド生成、肺炎を引き起こす細菌と長期的な心臓損傷の関係が含まれる。欧州宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士Sophie Adenotは3回の船外活動も実施し、ISSの外へ出た初のフランス人女性となった。

飲料水から点滴用輸液を作る

点滴用輸液の生成実験IVGEN Miniは、ISSの飲料水を原料に使う。宇宙船内にある水から輸液を生成する技術を評価し、将来のミッションで必要になる医療への対応を探る実験である。

NASAは、市販の点滴用輸液の保存期間を約16カ月としている。輸液生成技術の実証が成功すれば、医療需要に対応しながら、地上から運ぶ物資の打ち上げ質量と容積を減らせるという。

血液幹細胞を微小重力用の培養装置で増やす

NASAの宇宙飛行士Jessica Meirは、生命科学実験用の作業設備Life Sciences Glovebox内で、幹細胞増殖実験InSPA-StemCellEX-H2に取り組んだ。この実験は、コロラド大学ボルダー校の宇宙生命科学研究部門BioServe Space Technologiesが新たに開発した微小重力用バイオリアクターを使い、医薬品開発や臨床利用に向けた血液幹細胞の大量生産を目指す。

増殖では、細胞数に加えて血液の各種細胞へ分化する能力が課題になる。NASAは、地上で増殖させた幹細胞には、赤血球、白血球、血小板などへ分化する能力を失うという制約があると説明している。微小重力下の試料は凍結して地球へ戻し、宇宙での増殖をさらに分析する計画である。

感染した心臓組織と対照群の差を調べる

NASAの宇宙飛行士Jack Hathawayは、携帯型グローブバッグ内で感染研究実験MVP Cell-09の作業を行った。この実験では、幹細胞由来の心臓組織を使い、肺炎を引き起こす細菌の感染に組織がどう反応するかを宇宙環境で調べる。

アラバマ大学バーミングハム校の医学・生体医工学教授Palaniappan Sethuは、宇宙で感染を増悪させることで、感染群と対照群の違いが明確になると期待している。その差から、細菌の病原性を高める微細な要因を特定しやすくする狙いがある。