小惑星探査機Heraが、目標の小惑星との速度差を縮める長時間噴射に備えている。短時間の試験噴射は完了し、10月15日には3基のスラスターを93分間連続噴射する予定だ。減速結果を地上で測り、次の噴射で誤差を補正する。
軌道の傾きを合わせ、減速の指令作成へ
欧州宇宙機関(ESA)が運用する小惑星探査機Heraは、2026年2〜3月の深宇宙軌道変更で、太陽を回る軌道の傾きを目標のディディモス連星小惑星系に合わせた。この操作による速度変化は367m/sで、ESAの深宇宙追跡網Estrackによる追跡データが成功を確認した。
目標への接近に向け、次は小惑星との速度差を縮める減速操作を行う。Heraは初回操作BRM-1の準備として10月2日に短時間の試験噴射を実施し、ESAはその後、実行に必要な一連の遠隔指令の作成を始めた。
3基の連続噴射を姿勢制御で支える
減速を担う軌道制御スラスターは機体底面に円状に並ぶ6基で、各基の推力は10Nだ。BRM-1ではこのうち3基を同時に使い、10月15日に93分間連続噴射する。ESAは、この噴射で小惑星に対する相対速度を数百m/s下げる計画だ。
連続噴射中の姿勢は、機体の角に配置された姿勢制御スラスターも使って維持する。このスラスターは各角に2基ずつ、計16基あり、推力は各10Nで、必要に応じて個別に噴射する。
機上センサーと地上追跡で減速量を確かめる
噴射が終わると、ESAはオーストラリアのニュー・ノーシアにある口径35mの深宇宙アンテナでHeraの信号を受信する予定だ。受信するテレメトリーには、機上の誘導・航法・制御センサーの出力が含まれる。
このセンサー出力に測距とドップラーのデータを合わせ、ESAは速度変化の方向と大きさが計画に合っているかを評価する。確認と計算を経たうえで、2回目の減速操作BRM-2の指令を探査機へ送る。
2回目の噴射で補正し、相対速度をほぼゼロへ
BRM-2は10月22日に約31分間の噴射を行う予定で、ディディモス系との速度合わせに必要な速度変化の大部分を完了する計画だ。この操作には、BRM-1で生じた実行誤差を補正する役割もある。
続いて月末に向けて3回の小規模な移行操作を行い、ディディモスに対する相対速度をほぼゼロまで下げる。接近先では、小惑星とNASAの探査機DARTによる衝突への応答を近距離から調べる予定だ。