モーター制御用マイコンRA8T2は、2台のモーターの三相電流を同時に取得し、インバーター駆動用のPWM出力にも対応する。電流取得から駆動波形の生成、過電流時の出力停止までを担う周辺回路を備え、製品と対応ソフトウェアの提供が始まった。
2基のADCで三相電流を同時に取り込む
ルネサス エレクトロニクスのモーター制御用マイコンRA8T2は、16ビットADCを2基搭載する。各ADCには3チャネルのサンプル・ホールド機能があり、三相の電流値を同時に取り込むことができる。
この取得機能を2基分備えることで、2台のモーターについて、それぞれの三相電流を同時にサンプリングできる。ルネサスは、同時サンプリングによって補正処理が不要になり、ソフトウェアの負荷が減るとしている。
駆動波形の生成と過電流時の停止に対応
電流を取得するADCは、インバーター駆動用のGPTタイマーと連携する。タイマーは複数相の相補PWM出力に対応し、デッドタイムの自動挿入や非対称PWMの生成も行うことができる。
過電流の検出時には、高速コンパレーターと出力制御機能のPOEGがPWM出力を停止する。停止時の出力状態は、インバーターの仕様に合わせて高インピーダンス、High、Lowから選択できる。
制御演算と通信処理を1チップにまとめる
これらの周辺回路を備えるマイコンの処理コアには、1GHzのArm Cortex-M85を採用する。250MHzのArm Cortex-M33を追加した構成も選べ、ルネサスは、この構成でリアルタイム制御と通信機能や非リアルタイム処理を1チップにまとめられるとしている。
コアに密結合したメモリーのTCMは、Cortex-M85用に256KB、Cortex-M33用に128KBを備える。ルネサスは、TCMが処理時間の揺らぎであるジッターを抑え、割り込みや分岐の多いモーター制御処理の安定動作に寄与するとしている。
工場ネットワーク接続と実機評価を支える
通信処理に使う周辺回路として、DMA付きのGigabit Ethernet MACを2基搭載する。さらに2ポートのEtherCATスレーブを備え、モーター制御に加えて工場向けネットワークへの接続にも対応する。
RA8T2と対応ソフトウェアパッケージのFlexible Software Package(FSP)は提供が始まっている。永久磁石同期モーターを使うFlexible Motor Control開発キットと、開発ツールのRenesas Motor Workbenchにも対応し、モーター制御を評価できる。