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モーター制御用マイコンRA8T2、2台の三相電流を同時取得

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    モーター制御用マイコンRA8T2は、2台のモーターの三相電流を同時に取得できる。

  2. 実現の仕組み

    2基の16ビットADCが、それぞれ3チャネルのサンプル・ホールド機能で三相の電流値を同時に取り込む。

  3. 得られた結果

    ルネサスは、電流の同時取得によって補正処理が不要になり、ソフトウェアの負荷が減るとしている。

  4. 従来との違い

    RA8T2と対応ソフトウェアの提供が始まり、永久磁石同期モーターを使う開発キットで評価できるようになった。

作業台上の制御基板に、2台のモーターとそれぞれのインバーターが接続されている。各モーターの三相電流が基板上の別々のサンプリング領域へ同時に入り、PWM制御の波形がインバーター側へ戻る様子を示す編集イラスト。
AI生成画像

モーター制御用マイコンRA8T2は、2台のモーターの三相電流を同時に取得し、インバーター駆動用のPWM出力にも対応する。電流取得から駆動波形の生成、過電流時の出力停止までを担う周辺回路を備え、製品と対応ソフトウェアの提供が始まった。

2基のADCで三相電流を同時に取り込む

ルネサス エレクトロニクスのモーター制御用マイコンRA8T2は、16ビットADCを2基搭載する。各ADCには3チャネルのサンプル・ホールド機能があり、三相の電流値を同時に取り込むことができる。

この取得機能を2基分備えることで、2台のモーターについて、それぞれの三相電流を同時にサンプリングできる。ルネサスは、同時サンプリングによって補正処理が不要になり、ソフトウェアの負荷が減るとしている。

駆動波形の生成と過電流時の停止に対応

電流を取得するADCは、インバーター駆動用のGPTタイマーと連携する。タイマーは複数相の相補PWM出力に対応し、デッドタイムの自動挿入や非対称PWMの生成も行うことができる。

過電流の検出時には、高速コンパレーターと出力制御機能のPOEGがPWM出力を停止する。停止時の出力状態は、インバーターの仕様に合わせて高インピーダンス、High、Lowから選択できる。

制御演算と通信処理を1チップにまとめる

これらの周辺回路を備えるマイコンの処理コアには、1GHzのArm Cortex-M85を採用する。250MHzのArm Cortex-M33を追加した構成も選べ、ルネサスは、この構成でリアルタイム制御と通信機能や非リアルタイム処理を1チップにまとめられるとしている。

コアに密結合したメモリーのTCMは、Cortex-M85用に256KB、Cortex-M33用に128KBを備える。ルネサスは、TCMが処理時間の揺らぎであるジッターを抑え、割り込みや分岐の多いモーター制御処理の安定動作に寄与するとしている。

工場ネットワーク接続と実機評価を支える

通信処理に使う周辺回路として、DMA付きのGigabit Ethernet MACを2基搭載する。さらに2ポートのEtherCATスレーブを備え、モーター制御に加えて工場向けネットワークへの接続にも対応する。

RA8T2と対応ソフトウェアパッケージのFlexible Software Package(FSP)は提供が始まっている。永久磁石同期モーターを使うFlexible Motor Control開発キットと、開発ツールのRenesas Motor Workbenchにも対応し、モーター制御を評価できる。