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耐放射線ICを計算機・電子系に搭載した月着陸機SLIMが月面へ

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    月着陸機SLIMの計算機と電子系には、通信・アナログ・電源用の耐放射線ICが組み込まれている。

  2. 実現の仕組み

    宇宙向けICの耐放射線対策には、回路の設計やレイアウトに加え、バーンインと総線量試験を用いる。

  3. 得られた結果

    ルネサスは搭載部品について、最大300krad(Si)の総電離線量に耐える試験を実施したとしている。

  4. 従来との違い

    H-IIAロケットで打ち上げられたSLIMが、月面のシオリ・クレーター付近に着陸した。

月面に立つSLIMを簡略化して描き、通信経路、複数のアナログ信号を選ぶ回路、電源調整の機能を無文字の概念図で示した編集イラスト。
AI生成画像

通信・アナログ・電源用の耐放射線ICを組み込んだ月着陸機SLIMが、日本時間1月20日に月面へ到達した。ルネサスが供給した搭載部品には、RS-422通信用ICやアナログマルチプレクサー、電圧レギュレーターが含まれる。

計算機と電子系に組み込まれたICが月面へ到達

ルネサスによると、耐放射線ICを搭載した月着陸機SLIMは、日本時間1月20日にシオリ・クレーター付近へ着陸した。JAXAが運用するこの着陸機は、2023年9月7日に種子島宇宙センターからH-IIAロケットで打ち上げられた。

ルネサスが部品を供給した対象は、機体の統合計算機と電子サブシステムである。搭載ICは通信だけでなく、アナログ回路と電源回路の部品も含む。

RS-422通信に送信側と受信側のICを採用

通信用の搭載部品には、RS-422ドライバーと受信器が含まれる。受信器には3.3Vと5Vのものが採用されており、RS-422通信の送信側と受信側の両方にルネサスの部品が使われている。

アナログ回路と電源回路にも耐放射線部品

アナログ回路用には、16チャネルのアナログマルチプレクサーと40Vのレール・ツー・レール型オペアンプが採用された。通信回路に加えて、複数チャネルのアナログ信号を扱う回路にも耐放射線部品を組み込んだ構成となっている。

電源回路には3Aの低ドロップアウト電圧レギュレーターが使われている。搭載部品の範囲は、信号を扱うICから電圧を調整するICまで及ぶ。

総電離線量300krad(Si)までの耐性を試験

ルネサスは、宇宙向けICの耐放射線対策に設計、レイアウト、特定のプロセス技術を用い、製造工程ではバーンインや総線量試験を実施すると説明している。放射線への対策は、回路構成と製造・試験工程の双方に組み込まれる。

SLIMに供給した部品については、最大300krad(Si)の総電離線量に耐える試験を実施したとしている。この値は搭載部品の試験条件であり、月面で実際に受けた線量を示すものではない。