Robotics

双腕ロボットのCADデータを物理設定付きのシミュレーションへ

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    双腕ロボットの両腕とグリッパーを設定し、仮想環境で物体をつかんで置く作業に使う工程を示した。

  2. 実現の仕組み

    AIモデルがPythonコードの作成を支援し、3Dモデルを変換・設定するOmniverseライブラリーを呼び出す。

  3. 得られた結果

    ロボットとグリッパーのStepデータをシミュレーターへ取り込み、参照画像に基づく外観調整を実施した。

  4. 従来との違い

    外観形状だけを持つモデルに、両腕とグリッパーの物理設定を追加した。

仮想作業面で、双腕ロボットの一方のグリッパーが立方体を持ち、もう一方がマーカーをつかむ編集イラスト。腕の一部にはCAD形状を示す細いワイヤーフレームが重ねられている。
AI生成画像

双腕ロボットのCADデータを、形状の変換から物理設定、用途別検証、物体をつかんで置く作業までつなぐ工程が示された。AIエージェントが3Dモデル用のツールを操作し、見た目の調整とシミュレーションに必要な属性の設定を進める。

形状に接触と運動の条件を加える

NVIDIAは、ABB Roboticsの双腕ロボットYuMiを使い、両腕と物体をつかむグリッパーをロボットシミュレーターのIsaac Simで設定する作成例を示した。対象はCADデータの取り込みから、仮想環境で物体をつかんで置く作業までを含む。

そのモデルを保持する3Dデータ形式のOpenUSDは、形状だけでなく、組み立て構造、材料、シミュレーション用の属性も共通の表現に収める。NVIDIAの説明では、衝突形状が欠けると物体がグリッパーを通り抜け、質量や摩擦の設定は把持の安定性に直接影響する。外観を整える工程と、接触や運動を成立させる工程の両方が必要になる。

AIがツールを呼び、CAD形状と外観を整える

作成例では、AIモデルGPT-6 Astraが、3Dデータの変換や設定を行うNVIDIA Omniverseライブラリーを呼び出すPythonコードの作成を支援する。この経路を使って、YuMiとグリッパーのStepデータをOpenUSDへ変換し、シミュレーターへ取り込んだ。

取り込んだモデルの外観は、ABB Roboticsの参照画像と動画に合わせて調整した。CAD形状と取り付け位置を維持しながら、色、金属的な応答、表面の粗さを変えている。これらの材料設定は目視による推定であり、測定した材料特性の再現としては扱っていない。

両腕とグリッパーに物理設定を追加する

外観を整えた段階のモデルには、関節、剛体、衝突形状がまだ設定されていない。作成例では、この状態から両腕とグリッパーに物理設定を追加し、形状を表示するモデルをシミュレーションで動かす工程へ進めた。

関節の設定には、ロボットのデータシートを参照する。可動範囲と速度制限を設定する際にこの情報を使い、見た目から関節の動作条件まで推定することを避ける。

用途別の検査から物体操作へつなぐ

物理属性を追加したモデルは、シミュレーション用モデルの要件体系であるSimReadyで検査する。開発者は用途に合うプロファイルを選び、構造、材料、物理属性をその要件と照合する。検査で見つかった問題は修正し、同じ要件で再検査する。

作成例の最後は、設定した両腕とグリッパーで物体をつかんで置く作業につながる。実演には立方体とSharpieのマーカーを使っている。カメラによる認識は別の工程として扱い、このモデル準備と物体操作の工程には含めていない。