Semiconductor

56Gbpsの通信受信回路、誤った同期から正常受信へ復帰

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    PAM4信号を入力したまま、比較器をNRZモードで動かして正しいクロック同期を得られることを確認した。

  2. 実現の仕組み

    比較器をNRZモードで動かし、等化器や可変利得増幅器などを適応制御してクロックを復元する。

  3. 得られた結果

    キオクシアの試作回路測定で、外部ケーブルを通した56GbpsのPAM4信号を、初期状態が誤同期でも正しく受信できた。

  4. 従来との違い

    クロック復元後に比較器をNRZモードからPAM4モードへ切り替え、等化器と比較器を再調整した。

外部ケーブルが接続された半導体受信回路の試作基板を描いたイラスト。4段階の信号が回路を通り、クロックのタイミングが整って再び4段階の波形として続く様子を示す。
AI生成画像

56Gbpsの通信受信回路で、クロックが誤った位置に同期した状態から正常に受信する動作を確認した。比較器をまずNRZモードで動かして正しい同期を得た後、PAM4モードへ切り替える。キオクシアとNEDOが開発した手順を、16nmの試作チップで検証した。

4段階の信号がクロックの誤同期を招く

PAM4は4段階の電圧を使い、1シンボルで2ビットを伝える通信方式だ。2段階の電圧で1ビットを伝えるNRZに比べ、シンボル当たりの情報量が多い。

受信信号からクロックとデータを復元するCDRでは、省電力化に向けて、クロック周波数をシンボルレートの2倍から同じ周波数へ下げたbaud-rate CDRが使われている。キオクシアによると、この回路ではPAM4のデータ値0と3の間の特定の遷移を信号全体の遷移と誤認し、クロックが誤った位置に同期する場合がある。

PAM4入力をNRZモードで受けて同期を得る

キオクシアと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、入力信号がPAM4でも、比較器をNRZモードで動かせば正しい位置でクロックが同期することを見いだした。開発した手順は、この動作をクロック復元の初期段階に使う。

比較器をNRZモードにした状態で、等化器、可変利得増幅器、比較器のパラメーターを入力に合わせて適応制御する。この調整を経て、PAM4入力信号からクロックを復元する。

同期後にPAM4モードへ切り替える

クロックを復元すると、比較器はNRZモードからPAM4モードへ切り替わる。続いて等化器と比較器のパラメーターを再び最適化し、クロックを調整する。最初の同期を得る処理と、PAM4モードでの調整を順に進める手順だ。

16nmの試作回路で56Gbpsの受信を確認

この手順の検証には、16nmのFinFET技術で試作した56GbpsのPAM4送受信回路を使った。送信器が生成したPAM4信号を、外部ケーブルを通して受信器へ入力した。

キオクシアの測定では、初期状態でクロックが誤った位置に同期していても、開発した手順を使うことでPAM4信号を正しく受信できた。NRZモードでのクロック復元からPAM4モードへの切り替えまでを、試作回路の受信動作で確認した。