静止軌道と低軌道の宇宙物体を光学望遠鏡で観測し、施設とデータを共用する観測所の整備が契約段階へ進んだ。IHIエアロスペースとアリアングループは、IHI相生事業所内での建設・運用に合意した。新型センサー3基を備え、宇宙監視網の16番目の光学観測所となる計画だ。
静止軌道帯の観測事業に低軌道を含む共用拠点
宇宙機器メーカーのIHIエアロスペースは、群馬県南牧村と兵庫県相生市に宇宙状況把握(SSA)の観測所を持つ。既存事業では静止軌道帯を観測し、そのデータを販売している。
今回、宇宙・防衛企業のアリアングループと契約した共用観測所は、静止軌道に加えて低軌道の宇宙物体も観測対象とする。光学望遠鏡を使う計画で、既存事業の観測対象より広い軌道範囲を扱う。
相生で施設と観測データを共用する契約
IHIエアロスペースとアリアングループは4月1日、東京で共用観測所の建設・運用に関する協力契約を締結した。設置先はIHI相生事業所内で、今回成立したのは観測所を建設し、運用するための契約である。
共用の対象は施設だけでなく、そこで取得する観測データにも及ぶ。取得データは2社がそれぞれ活用する取り決めとなっている。
新型センサー3基を世界規模の光学観測網へ
アリアングループは、相生の共用拠点を宇宙状況監視ネットワークHelixの16番目の光学観測所と位置付けている。この拠点には新型センサー3基を搭載する計画だ。
この観測網は、世界各地に分散配置した多様な光学センサーを中央指揮所へ接続する構成を取る。相生の観測所も、こうした分散型の観測網を構成する拠点となる。
中央の自動処理から位置情報と軌道変更の解析へ
アリアングループによると、Helixは人工知能を使って高速な自動処理を行う。各地の光学センサーを接続する観測網に、この処理機能を組み合わせている。
観測網は24時間365日稼働し、リアルタイムの位置情報サービスを提供しているという。提供情報には、宇宙物体が軌道上で行うマニューバ、すなわち軌道変更に関する解析も含まれる。