Semiconductor

ソニーの監視カメラ用センサー、単一露光で4K・96 dBに対応

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    監視カメラ用センサーIMX908は、4K解像度で単一露光による96 dBのダイナミックレンジに対応する。

  2. 実現の仕組み

    1.45 µm角のLOFIC画素が、従来製品より電荷蓄積と電圧変換の効率を高める。

  3. 得られた結果

    ソニーの独自指標SNR1sに基づく比較では、低照度性能が従来の監視カメラ用センサーIMX778から約27%改善した。

  4. 従来との違い

    画素に蓄積できる飽和電荷量は、ソニーの比較でIMX778の約20倍に拡大した。

明るい屋外と暗い建物の通路を同時に捉える監視カメラと、画素の電荷蓄積を概念的に示す拡大図。
AI生成画像

1.45 µm角のLOFIC画素を採用した監視カメラ用センサーIMX908が、単一露光で4K・96 dBの撮像に対応する。ソニーセミコンダクタソリューションズによると、電荷蓄積と電圧変換の改善により、明暗差の大きい場面の白飛びと暗所の黒つぶれ・ノイズを抑える。

1.45 µm角の画素で小型センサーに4Kを収める

監視カメラ用CMOSイメージセンサーのIMX908は、1.45 µm角のLOFIC画素を採用する。ソニーセミコンダクタソリューションズが開発したこのセンサーは、対角6.42 mmの1/2.8型に約840万の有効画素を備え、小型の撮像面で4K解像度に対応する。

LOFICはLateral overflow integration capacitorの略で、画素内の電荷蓄積に関わる構造だ。ソニーセミコンダクタソリューションズによると、この構造は従来製品より電荷蓄積と電圧変換の効率を高め、飽和電荷量と低照度性能の改善につながる。

電荷の受け皿を広げ、暗所の信号も取り出す

ソニーセミコンダクタソリューションズの比較では、画素に蓄積できる飽和電荷量が、従来の監視カメラ用センサーIMX778の約20倍に拡大した。より多くの電荷を蓄積できることで、強い光源のある場面でも白飛びを低減する。

暗い部分では、少ない光から電圧に変換する性能の改善が黒つぶれとノイズの抑制につながる。低照度性能は、監視カメラ用センサーの画質を評価するソニー独自の指標SNR1sに基づく比較で、IMX778から約27%改善したとしている。

単一露光で明暗差を捉え、動く被写体のずれを減らす

明るい部分での電荷蓄積と暗い部分での電圧変換を改善した結果、IMX908は4K解像度の単一露光で96 dBのダイナミックレンジに対応する。仕様上、この値に対応する撮像モードはClear HDR3である。

複数露光方式は、異なる露光設定で撮った複数の画像を合成して明暗差を扱う。ソニーセミコンダクタソリューションズによると、単一露光方式はそれに比べて動く被写体の輪郭や色のずれを低減し、画像処理に伴う不自然な像を抑える。

Clear HDR3は16 bit・30 fpsで出力する

Clear HDR3はセンサー内部で合成を行い、16 bit・30 fpsで画像を出力する。単一露光による撮像でも内部合成は用いられ、露光回数と画像の合成処理は区別される。

IMX908は、異なる変換効率で生成した画像データを出力することにも対応する。ソニーセミコンダクタソリューションズは、このセンサーのサンプル出荷を2026年3月末に予定している。